ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.01.10]

山海塾の新作『時』の世界初演

 山海塾が、テアトル・ド・ラ・ヴィルに定期的に出演するようになって20年以上になる。私は90年代の初めか ら、山海塾の新作が初演されるたびにこの劇場に通ってきたが、毎回チケットは売り切れ、開演前にチケットを求める人が溢れるという状況は変わっていない。 ヨーロッパのコンテンポラリー・ダンスの最も重要な発信地の一つであるこの劇場で、ピナ・バウシュなどと並んで、根強い人気を確立したことは特筆に値す る。

今回は2年ぶりの来演で、新作『時』が初演された(12月15日ー21日)。演出、振付、構想は天児牛大、音楽は加古隆、吉川洋一郎、YAS-KAZ。 全7景からなる約1時間半の作品で、作風的には、従来の路線に外れることなく、琴や鈴の響きを交えた夢幻的な音響と、7つの石碑のようなオブジェが半円形 に置かれた装置の中で繰り広げられる舞台は、観客を古代東洋の世界へ誘うのに十分であった。
天児牛大と7名の舞踏手が交互に舞台に登場するが、以前と比べて、全体にスロー・テンポになり、天児の出番が少なくなったような気がしたが、大きな白い 布の中央に立ち、布の四隅が持ち上げられた瞬間は、蓮の花が開いたように神秘的で、印象的なシーンである。あまり新機軸は見られないが、山海塾スタイルが すっかり定着し、満員の客席を魅了していた。
この新作に続いて、27~30日には、第2プロとして、『金柑少年』の新版も上演された。