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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2016.07.11]

アフリカン・ダンスのエッセンスとコンテンポラリーを融合したロナルド・K・ブラウンのカンパニー

“ GATEKEEPERS ” “ BETTER DAYS ” “ MARCH ” “ FOUR CORNERS ”
Artistic Director : Ronald K. Brown ロナルド・K・ブラウン:芸術監督、振付

6月28日から7月3日まで、ジョイスシアターにて、ロナルド・K・ブラウン/エビデンス ア・ダンス・カンパニーの公演がありました。ダンサー、振付家のロナルド・K・ブラウンが1985年に創立したダンス・カンパニーで、地元ニューヨークのブルックリンが拠点です。アフリカン・ダンスとコンテンポラリー・ダンスの振付の融合が特徴で、アフリカのフォームとリズムも使っています。全米や世界13カ国で公演しています。
ロナルド・K・ブラウンは受賞歴多数で、アルヴィン・エイリー・ダンス・シアターやバレエ・ヒスパニコなど様々なダンス・カンパニーとも仕事をしてきました。トニー賞受賞ブロードウェイ・ミュージカルの” The Gershwin's Porgy & Bess “での優れた振付で、Fred & Adele Astaire Awardを受賞しました。

ny1607a05.jpg (c) Lelund Durond Thompson

今回の演目は、プログラムAとプログラムBで、私が見たのは7月1日、プログラムBでした。休憩を2回はさんで、4つの演目が上演されました。扱っている題材、音楽、テーマは、黒人色の強いメッセージ性があるものばかりで、振付はすべて、ロナルド・K・ブラウンです。ダンサーはほとんど黒人、1人だけフィリピン系アメリカ人で、全員が有色人種のカンパニーです。
ダンサーたちは女性も全員、足がすごく筋骨隆々で、鍛え上げられていてレベルが高かったです。
“ GATEKEEPERS ”は1998年初演で、音楽はWunmiです。これは30分近い長い作品でした。出演ダンサーは6名。音楽はほとんど、ハウス・ミュージックが中心でした。振付は、音楽のリズムと音にピタッと合っている動きでした。のびやかな動きで、ジャンプと回転が多く、躍動感がありました。アチチュードで回転するところも多かったです。手足の動きが連続して流れてつながっているような感じで、振付はずっと変化し続けていて同じことのくり返しはほとんどありませんでした。工夫されている振付でした。強弱のメリハリがあり、静かにじっとしているところ、たたずんでいるところや、激しく動くところなど、全体で盛り上がりと変化が大きかったです。ヒップホップのような動きもありました。

“ BETTER DAYS ” は1998年初演で、音楽はCharles H. Gabriel、Civilla D. Martin、Labelleなど様々なアーティストの曲をDJ MKLがミックスしたものです。テキストはG. Winston Jamesです。ダンサーは4人で、ロナルド・K・ブラウンご本人も出演しました。
聖歌のような、神を称える歌の音楽で、ゆったりしたリズムの作品でした。最初、一人の男性ダンサーが出てきて、床を這ったり、手をついて這って前に進んだり、後ろへ下がったり、上を見上げて両手を広げて祈ったりしていました。ブラウン本人が出てきた時は、すごくゆっくり歩いていて、祈ったりたたずんだり、ゆっくりとしたタメのある動きが多かったです。祈りの踊りのような感じでした。
やがてダンサーが数名でてきて、音楽もソウルフルなファンクのようなものに変わり、激しく早いリズムの曲に乗って踊りました。ヒップホップのような飛び跳ねる動きも多く、時々グランバットマンも入れていて、ジャンプもしていました。激しく元気に踊っていて、躍動感とパワーがあり、楽しそうな踊りでした。

“ MARCH ” は1995年初演で、音楽はBobby McFerrin、テキスト(演説)はDr.
Martin Luther King Jr.です。出演ダンサーは2名です。これは、あの有名なマーティン・ルーサー・キング牧師の演説の録音を流して、それを背景に踊りで表現していました。パントマイムのような動きで、朗読にあわせてリズムを取り、2人で動いていました。同じ動きを2人でするところがほとんどでした。動きはメリハリがあり、朗読の中の休符には動きを止めていて、また朗読が始まるとささっと動き始め、早く動いたり止まったり、繰り返していました。朗読の音を4拍子をつけて1小節ごとに割って分けて、4拍子のリズムで踊り続けるところもあり、手を振り回すところもありました。自然に朗読となじんでいたので、見事でした。リフトもありました。最後は、静かに後ずさっていき、終わりました。面白い作品で、興味深かったです。

ny1607a01.jpg (c) Lelund Durond Thompson ny1607a02.jpg (c) Lelund Durond Thompson

“ FOUR CORNERS ”は2014年初演で、音楽はCarl Hancock Rux、Rahsaan Roland Kirk、Yacobの曲をRKBがミックスしたものです。出演ダンサーは7名です。
ブラジル音楽の楽器のビリンバウの演奏の音が流れていて、それにあわせて男性のソロの踊りが最初、続きました。揺れ続けたり、両手を合わせて祈りのようなポーズをしていました。
男女のリフトもあり、ソロの踊りがずっと入れ違いで続いていき、2〜3名での踊りも入れ替わり続きました。ヒップホップのように、足はずっとリズムに沿って上下にバウンドし続けながらカウントを取り、両手を振り下ろしたり、足を上げたり、回転したりという振付をはさんで入れて、つないでいっていました。両手の平を広げて前や外に向けて踊るところが多かったです。
音楽も激しくなり、早いリズムになって、皆の踊りも同時に激しくなっていき、盛り上がりました。
全体に、アフリカンのダンスの要素はほんのエッセンス的に加えられているだけで、ほとんどはコンテンポラリー・ダンスのテクニークを中心に使って、踊りを表現していました。ニューヨークの地元には、このような、長く続けている小さな規模のダンス・カンパニーがたくさんあるので、まだ取材したことのない地元のカンパニーを、時々レポートしたいと思います。
(2016年7月1日夜 ジョイスシアター)

ny1607a03.jpg (c) Lelund Durond Thompson ny1607a04.jpg (c) Lelund Durond Thompson