ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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針山 真実 text by MAMI HARIYAMA 
[2015.12.10]

グラハム・ダンス・カンパニーの折原美樹が振付けた身体と最先端の技術が融合したコラボレーション

nissy plus inc. Mar Creation / MEGUmedia
"IN THE BOX" Choreographer: Miki Orihara Pianist/Composer: Senri Oe Director: nissy (Hiroyuki Nishiyama)
『イン・ザ・ボックス』折原美樹 :振付、出演、nissy:プロデュース・ディレクション、大江千里:作曲・ピアノ演奏、津田奈々:出演

『In the Box』は、日本のエンターテインメント業界で活躍する演出家で舞台映像演出スペシャリストの西山裕之と、ニューヨーク在住でマーサ・グラハム・ダンス・カンパニーのプリンシパルとして活躍し、世界のモダンダンス・シーンを代表する折原美樹、そしてニューヨークを拠点にジャズピアニストとして活躍している大江千里らがコラボレートした公演だ。コンセプトは最先端の技術と身体表現が融合した作品の制作。そして、言語や性別などを超えて新しい感覚で感じとられる舞台表現を、それぞれの専門を活かしながら、新しいクリエイションとして生み出していくこと。
折原は振付を担当し、ダンサーとしても出演した。2001年にニューヨークに渡り、現在もこの地を拠点にダンサーとして活躍している津田奈々が折原と共演している。今、ニューヨークで活躍する代表的な日本人である折原や大江のコラボレーションで、出演するだけでなく一から制作にも関わっているという。どのようなクリエーティブな作品になるのかとても楽しみだった。

ny1512d_01.jpg (c) Yoji Kawada
ny1512d_03.jpg (c) Yoji Kawada

舞台はダンサーの息づかいも聞こえてくるほどの至近距離で行われ、この距離感がダンサーの動きや映像の世界にしっかりと見入ることが出来てとても良かった。始めどこからピアノの音が聞こえてきているのかが分からず、キョロキョロと探してしまったが、それも舞台の構成の一つだったようだ。
作品は生命の誕生から始まり、人間の苦悩や喜び、生き方をダンスと映像で表現していた。折原と津田の息の合ったなめらかなダンスの動き、そして舞台の背景だけでなくフロアも使って繰り出されるダンサーの動きに合わせた映像の技術、そのアイデアがとても面白く、凝った演出だった。
私も舞台を制作をしているだけにこの公演を見て、アーティストたちが何度もミーティングを繰り返し、アイデアを出し合い、こだわって制作したのだろうと思った。
途中、ダンサーのJUNKOとTAKEHIRO HEBISAWAが見せたヒップホップ・ダンスも、切れと激しさがありとても良かった。終盤に大江が鍵盤ハーモニカを吹きながら舞台上に現れ、その寂しげな音色と大江の動きも印象的だった。
公演自体は1時間足らずで通常の公演としては短いのだが、見終えた後はとても充実感があり、終演後に時計を見てたった1時間弱だったことに驚いた。開催された全5回公演はほぼ完売だったようで、彼らの初めての試みは大成功だったと思う。
(2015年11月20日 マーサ・グラハム・ダンス・カンパニー・スタジオ)

ny1512d_02.jpg (c) Yoji Kawada