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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2014.12.10]

ゴメス、へレーラ、シムキン他が踊ったキリアン、サープ、ラトマンスキーのトリプルビル

American Ballet Theatre アメリカン・バレエ・シアター
“ Bach Partita ” by Twyla Tharp、“ Seven Sonatas ” by Alexei Ratmansky 、“ Sinfonietta ” by Jiří Kylián
『バッハ パルティータ』トワイラ・サープ:振付、『セヴン・ソナタ』アレクセイ・ラトマンスキー:振付、『シンフォニエッタ』イリ・キリアン:振付

10月22日から11月2日まで、リンカーンセンターでABTの秋の公演がありました。1940年創立のABTは、2015年に75周年を迎えます。
ABTは毎年秋の公演では、現代的な振付家作品を中心のトリプルビルを上演します。世界的レベルのABTのバレエダンサーたちが踊るコンテンポラリー・ダンスを見られるので、年に1度の良い機会で楽しみにしています。10月30日午後2時からの公演を見ました。

1作目は、『バッハ・パルティータ』で振付はトワイラ・サープです。音楽はヨハン・ゼバスチャン・バッハのヴァイオリンを中心とした演奏。1983年初演です。
プリンシパル・ダンサーは、パロマ・ヘレーラ、マルセロ・ゴメス、イザベラ・ボイルストンです。群舞も合わせて、大勢のダンサーが踊りました。
女性ダンサーは主にトゥシューズで踊りましたが、時々、バレエシューズのシーンもありました。クラシック・バレエをベースにしたコンテンポラリー・ダンスです。
サープらしい独特の振付で、速いテンポの踊りが続いていました。群舞、数名、ソロなどの小グループごとに出てきて、次々に素速い短い踊りが展開されていきました。ダンサーたちがどんどん入れ替わっていき、振付も毎回違うものが重ねられてつなげられ、それが続きました。右回転、左回転が交互に入れ替わって続く振付が多く、その度に身体の軸が移動するので、難易度が高いです。
ヘレーラのソロ、ゴメスのソロもありました。とてもゆったりしていて、丁寧な踊りで、身体の軸がしっかりしていてブレません。パ・ド・ドゥは何組かずつたくさんでてきて踊りました。ヘレーラとゴメスもパ・ド・ドゥを踊り、他に合わせて3組のペアが同時に同じ振付で踊りました。そのうち男女ペア2組が、1組ずつ、男性が女性をサーッと引きずって去っていきました。
ラストはヘレーラとゴメスが中央でポーズを決めて静止し、幕が閉じました。

ny1412a03.jpg 「バッハ パルティータ」Photo: Gene Schiavone
ny1412a01.jpg 「セヴン・ソナタズ」Photo: Rosalie O'Connor

2作目は『セブン・ソナタ』、振付はアレクセイ・ラトマンスキーです。音楽はドメニコ・スカルラッティで、2009年初演です。
プリンシパル・ダンサーは、ヴェロニカ・パートで、6名のダンサーが踊りました。音楽は、ゆったりしたピアノ曲で、だんだん速い速度になりました。
女性はトゥシューズで、バレエベース。ストーリーがあるような、ダンサーたちの表情が様々に変化する踊りでした。ソロ、パ・ド・ドゥ、3〜6名のグループごとなど、次々に違うシーンと踊りが重なっていきました。
2人で踊って、床に倒れ込むと照明が消えたところや、女性が男性を追いかけるように舞台に出てきたり、男性が女性をリフトして持ち上げたまま消え去るところもありました。コンテンポラリーの振付がところどころに表れています。
ラストは、女性が男性の前に寝転がって、男性が女性を包むように手を添えて、頭を下げて幕が閉じました。

3つ目は『シンフォニエッタ』、振付はイリ・キリアンです。音楽はレオシュ・ヤナーチェク、1979年初演です。
プリンシパル・ダンサーは、マルセロ・ゴメス、ダニール・シムキン、ジリアン・マーフィー、ジュリー・ケント、パロマ・ヘレーラという豪華なキャストでした。
舞台両端の花道のところに、上手に6名、下手に5名の黒服を着たホーンセッション隊が立っていました。舞台後方の背景画は、広大な緑の大地です。
作品は5つのムーヴメントで構成されていました。
最初は男性ばかり7名が踊りました。飛び跳ねて、右に左にと行ったり来たりしていました。ヨガのマツヤ・アーサナ(魚のポーズ)からサルワーンガ・アーサナ(肩立ちのポーズ)を連続で全員でやって静止し、照明が消えました。後は、男女ペアが何組か、パ・ド・ドゥが続きました。2組ずつのところや、1組のところもありました。衣装は、女性はシンプルなワンピース、男性は上はTシャツとしたはパンツで、上下同じ淡い色あいの中間色で、シンプルなものでした。
ピルエットを、片足の踵を床について軸にして、つま先は床から浮かせて回転しているところがありました。これはコンテンポラリーの振付ですね。
前述のようにヨガのポーズを振付に何箇所か、採り入れていたのが印象的でした。ブルックシャ・アーサナ(木立のポーズ)で数名が静止して、そのまま上半身だけを横に傾けたところもありました。イリ・キリアンはヨガもご存知なのですね。
全体的に展開が速くて、次々に様々な踊りを重ねていって、めまぐるしくシーンが変わっていき、飽きずに引き込まれ続けました。
最後は7組の男女が全員出てきて、飛び跳ねて、舞台に背を向けて並んで、後ろへゆっくりと歩いて行っているところで幕を閉じました。ホーン隊の演奏が鳴り響いていて雄大な感じで、感動的な終わり方でした。
(2014年10月30日午後、David H. Koch Theater)

ny1412a02.jpg 「シンフォニエッタ」Photo: Marty Sohl