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それぞれが輝いたABT版『ラ・バヤデール』

American Ballet Theatre  アメリカン・バレエ・シアター
Natalia Makarova “La Bayadere” ナタリア・マカロワ振付『ラ・バヤデール』

7月のニューヨークは、ダンス公演やフェスティバルのシーズンの真っ盛りです。ABTの公演もありました。7月5日から8月5日まで、毎年恒例のリンカーンセンター・フェスティバルも開催され、今年はパリ・オペラ座バレエ団が招聘されました。
5月14日から7月7日まではメトロポリタン・オペラ・ハウスで、ABTの春夏シーズンの公演期間でした。なお、6月28日にアンヘル・コレーラが、7月7日にイーサン・スティーフェルが最後の公演を迎え引退しました。すばらしいダンサーでした。
6月28日のアンヘルのさよなら公演『白鳥の湖』はチケットがソールドアウトだったため、当日、立見席を購入して見しました。初めて最上階(6階)で観劇しましたが、上から観ると舞台が箱庭のようで、群舞の配置の工夫などが良く分かり、オーケストラ席では観えない角度で新鮮で楽しかったです。アンヘルはいつも以上に笑顔満面でした。私も感慨深かったです。

ny1208a01.jpg Photo: Gene Schiavone

5月25日に『ラ・バヤデール』を見しました。ナタリア・マカロワ振付、音楽はレオン・ミンクスです。
プリンシパルは3名で、ニキヤはヴェロニカ・パルト、ソロルはマルセロ・ゴメス、ガムザッティはナタリア・オシポワ。ドゥグマンタはソリストのゲナディ・サヴェリエフ、ブロンズ・アイドルはソリストのダニール・シムキン。ザ・シェーズの3人組はソリストのマリア・リチェット、サラ・レーン、加治屋百合子、という豪華なキャストでした。
この日のキャストの、パルト、ゴメス、オシポワは、それぞれピッタリと役柄にはまっていました。可憐で美しく繊細なパルトの踊るニキヤは儚い感じが出ていて、とても美しかったです。さすが実力派です。戦士ソロルのゴメスは、黒髪でエキゾチックな雰囲気を醸し出していて、古代インドの物語にピッタリ合っていました。勇敢な戦士らしくてとても良かったです。
気性が激しい情熱的な印象のオシポワが踊るガムザッティは、対照的な感じで印象的でした。作品の中でオシポワのとても激しい印象の力強い踊りが役柄に生かされていて感心しました。芸術監督によるダンサーの生かし方が素晴らしいのですね。彼女は個性的で印象に強く残るダンサーです。オシポワは今シーズン『火の鳥』も踊りました。きっとよく似合っていただろうなと思いますが、私は別のキャストの時に見たので、次の機会を楽しみにしています。

ブロンズ・アイドルのシムキンはまだソリストですが、出てきただけで歓声が沸きあがりました。シムキンはバレエダンサーの中でも特に、まるでオリンピック選手のように身体能力が抜きん出ていていつも驚かされます。きっとプリンシパルに昇進するのは時間の問題だと思います。歴史的なダンサーになっていくことでしょう。シムキンは小柄なので、このブロンズ・アイドルがとても似合っていました。
加治屋百合子の踊りは特に手と首の使い方、表情がとてもエレガントで個性があります。彼女は普段から練習時にも、自分の個性と踊りをとても大切にしているのだなと感じます。
(2012年5月25日夜 メトロポリタン・オペラ・ハウス)

お詫び
文中、ニキヤのキャスト表記に誤りあり修正させていただきました。ご覧いただいた皆様、関係者の皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしました。謹んでお詫び申し上げます。
修正箇所「ディアナ・ヴィシニョーワ」→「ヴェロニカ・パルト」(2012.9.7)