ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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皆様、お元気ですか。 6月7月は、ニューヨークはダンス公演シーズン真っ盛りです。ニューヨーク・シティ・バレエ、ABTの公演期間もありました。もうじき、毎年恒例のリンカーンセンター・フェスティバルもあります。6月28日はアンヘル・コレーラのABT現役最後の公演です。演目は『白鳥の湖』です。アンヘルはABTを引退し、今後はスペインのバルセロナにある彼自身のカンパニー、コレーラ・バレエとスクールの活動に集中していきます。

スーザン・ストローマンの演劇・ミュージカル風の明るく楽しい2作品

New York City Ballet “Double Feature”
ニュ−ヨーク・シティ・バレエ団「ダブルフューチャー」
Susan Stroman ”The Blue Necklac” , "Makin' Whoopee"
スーザン・ストローマン振付『ザ・ブルー・ネックレス』『メイキン・ウーピー!』

5月1日から6月10日まで、ニューヨーク・シティ・バレエの春の公演期間でした。
私は5月27日の公演を拝見しました。「ダブル・フューチャー」と題して、2つの作品の上演です。

ny1207a01.jpg Photo /Paul Kolnik

『ザ・ブルー・ネックレス』はスーザン・ストローマンの振付です。これは演劇風、ミュージカル風の、物語性が強い作品。楽しい雰囲気でストーリーが分かりやすく子供も楽しめるものです。
出演した主なダンサーは、マリア・コウロスキー(女優ドロシー役)、クリスチャン・トロヤンスキー、サヴァンナ・ロウェリー、スターリング・ヒルティン(娘マベル役)、ミーガン・フェアチャイルド(継母娘フローレンス役)、ロバート・フェアチャイルドです。
赤ちゃんの頃、生まれてまもなく、母親に教会の前に捨てられた孤児の女性をめぐるお話です。すぐに通りがかりの男性に赤ちゃんは拾われて持ち去られ、家につれて帰ると妻と口論になりますが、子供の居ない夫婦なので2人でその赤ちゃんを育て始めました。やがて自分たちにも娘が生まれ、それから先の孤児の少女は継母からいじめ抜かれるようになりました。味方だった孤児を拾ってきた男性は若くしで亡くなってしまいました。孤児の少女が拾われた時に身につけていたブルーのネックレスを、継母が取り上げてしまい、実の娘が代わりに身につけてしまいました。毎日、いじめられ、掃除などの用事をさせられて召使のようにこき使われてつらい日々を送っていた孤児の娘は、小さな子供の頃から踊ることが大好きで、いつも継母たちの目を盗んでは、家の中で踊っていました。掃除も踊りながら楽しくやっていたのです。

ny1207a02.jpg Photo /Paul Kolnik

その後、あまりに継母と娘からのいじめがひどいため、ある日、孤児の少女は家を飛び出して逃げることに成功しました。そしてニューヨークの街にたどりつきました。
その頃、ニューヨークでは女優のドロシー・ブルックスが映画スターとして活躍していました。しかし彼女は、若い頃に赤ちゃんを育てられないと教会の前に置き去りにしたことを告白し、その実の娘を探し始めていました。その実の娘はブルーのネックレスを身につけているはずでした。やがて、そのブルーのネックレスを取り上げて身につけている娘と継母が女優ドロシーのところにやってきて、騙そうとしました。けれども、実の娘の孤児がやってきて、ドロシーに会い、瓜二つでそっくりなことから「あなたが本物の娘だわ」と気がついて、ハッピーエンドになりました。
この、ドロシーと孤児が実の親子だということを、バレエの踊りで表現していました。2人とも、同じようにバレエが上手に踊れるということで、2人は特徴がそっくりだということを表していました。逆に、継母の娘はブルーのネックレスを身につけていたけれど、全くバレエが踊れず、どんくさくかっこ悪い踊りをして、「ドロシーとは正反対で、似ていない」ということを表現していました。
孤児の娘と継母の娘が子供の頃のシーンは、それぞれ、少女のダンサーが出演して、バレエシューズで簡単な振りを踊っていました。
映画スターの女優が登場するなど、とても華やかな演出の舞台でした。ストーリーと展開も、とても面白かったです。

次の『メイキン・ウーピー!』も、振付はスーザン・ストローマンです。2004年1月初演の作品です。スクリーンがあり字幕の解説付きです。
舞台はニューヨークで、セントラルパークもでてきました。
出演した主なダンサーは、ホアキン・デ・ルース(ジミー役)、タイラー・ペック(アン役)、アマール・ラマサール、ジョナサン・スタフォード、アンドリュー・ヴェィエットです。

ジミーはアンに、交際を申し込み続けていましたが、いつも、断られ続けていました。長い間断られ続けている様子を、春、夏、秋、冬という季節が移り変わるシーンで表現していました。
ある日、ジミーの叔父が亡くなり、弁護士がやってきて、「遺産約7億円があります。X月X日の夜7時までにジミーが結婚していれば、ジミーが相続できます」という遺言の内容を示されました。
それからは、ドタバタ劇でした。ジミーはいろんな女性に声をかけはじめますが、誰にも相手にされませんでした。もてない男性の典型の様子を表現していました。ジミーは男友だち2人に手伝ってもらいながら、女性たちに声をかけて結婚を申し込もうとしますが、笑われ、ことごとく逃げられてしまいます。
あきらめかけたジミーは、とうとう、「遺産相続可能になるため、花嫁募集!希望者はX月X日の夜7時までにXXX教会に来てください。」のような広告記事を新聞(ニューヨーク・タイムズ)に掲載してもらったため、花嫁希望の女性が殺到しました。
花嫁は怒涛のような人数で、ウエディングドレス姿の女性たちで舞台上はいっぱいになりました。中には、遺産目当て丸出しで女装している男性の姿もけっこうありました。その女性たちはジミーの姿を見つけると、右へ左へ、何度も大勢で追い掛け回しました。そのシーンでは、客席は皆大笑いしていて、受けていました。
最後は、初恋のアンにジミーやはっと受け入れられて、2人で結婚することになり、ハッピーエンドでした。遺産相続は間に合って無事に済みました。
(2012年5月27日昼 The David H. Koch Theater)

ny1207a03.jpg Photo /Paul Kolnik ny1207a04.jpg Photo /Paul Kolnik