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NYCB、ロビンズの『イン・メモリー・オブ・・』『ザ・コンサート』

New York City Ballet ニュ−ヨーク・シティ・バレエ
Jerome Robbins ”In Memory of‥‥” "The Concert"
ジェロ−ム・ロビンズ『イン・メモリー・オブ・・』『ザ・コンサート』

12月の『くるみ割り人形』に続き、1月17日から2月26日まで、リンカーンセンターで、ニューヨーク・シティ・バレエの冬の公演が行われています。1月25日の「オール・ロビンス」です。ジェローム・ロビンス振付の小品集です。
上演作品は『イン・G・メージャー』(1975)『イン・メモリー・オブ・・・』(1985)『ザ・コンサート』(1956)です。
以前にも同じ作品をレポートしましたが、この公演のメインの『イン・メモリー・オブ・・・』と、一番盛り上がった『ザ・コンサート』について書きます。

ny1202b01.jpg Photo/ Paul Kolnik

『イン・メモリー・オブ・・・』は、音楽はアルバン・ベルクです。ストリングス中心の曲です。プリンシパルはウェンディー・ウェラン、ジャレド・アングル、ソリストはアスク・ラ・コールです。
衣装は、女性はシフォンワンピース、男性はシャツとパンツで、シンプルです。
一番中心的なダンサーはウェンディー・ウェランです。ウェランはキャリアが20年以上のダンサーで、力強いはっきりした踊りの中に、とても女性らしさがあります。手足が長いダンサーです。
ウェンディー・ウェランとジャレド・アングルとのパ・ド・ドゥ、アスク・ラ・コールとのパ・ド・ドゥが、それぞれかなり長い間ありました。最初はゆったりした明るい曲調、ロマンティックな雰囲気でした。群舞があり、つづけて別のパ・ド・ドゥから、一転して激しい感じの速い曲調になり、困惑した様子を表現していました。女性が2人の男性の中で、どうしようか迷っている感じだと思います。そして群舞が続きました。
この作品は、最後に終わり方がとてもロマンティックで美しいです。みんな消えた後、ウェンディー・ウェランが、ジャレド・アングルとアスク・ラ・コールの2人にリフトされて舞台上をゆっくりと横切り、静かに去り、ライトが消えて幕が閉じました。

ny1202b02.jpg Photo/ Paul Kolnik

『ザ・コンサート』の音楽はショパンです。プリンシパルはスターリング・ヒルティン、ホアキン・デ・ルースです。この作品はコメディで、最初から最後まで全編通してギャグがいっぱいで、観客はずっと爆笑し続けていました。以前も観ているのでネタは分かっていてもまた爆笑しました。クラシック・バレエでは珍しいことです。1956年の作品ですが、当時のバレエ界ではさぞ斬新だったことと思います。ニューヨークならではの作品と言えるかもしれません。
ピアニストの男性は舞台上においてあるピアノで演奏しますが、このピアニスト自身も、コメディの演技をするのです。ピアノの前に座ってから、ピアノに積もったホコリに気がついて、指でチェックして顔をしかめて、ハンカチを取り出してホコリを拭くと、ものすごいホコリがモクモクと飛び散ります。最初から観客は爆笑の渦です。
このピアニストの演奏会に多くのおかしな人々が聴きにくるというコミカルなバレエです。
コメディではお約束ですが、男性にも女性にもボケ役がいました。それぞれガリ勉風のメガネをかけていて冴えない雰囲気で、わざと踊りを間違えたり、下手くそに踊ったりしていました。男性のボケ役は、女性ダンサーのリフトが下手くそな設定で、逃げたり、落っことしたり、引きずっれたりしていました。その度にまた、大笑いです。女性のボケ役は、群舞を一人だけ間違えた振付けで踊ったり、ズッコケていました。
最後は、ダンサーたちは背中に蝶のような羽と頭に触覚がついていて、羽をひらひらさせながら次第に暴れまわっていたら、ピアニストがダ〜ンとピアノをたたいて、大きな虫アミを持って彼らを追い掛け回して終わりました。
(2012年1月25日夜 David K.KochTheater)