ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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紀元前438年のギリシア悲劇を題材にした舞台作品

Big Dance Theater ビッグ・ダンス・シアター
Directed and choreographed by Paul Lazar and Annie-B Parson “Supernatural Wife”
ポール・レイザー&アニー・B・パーソン演出・振付『スーパーナチュラル・ワイフ』
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11月29日から12月3日まで、BAMにて、ビッグ・ダンス・シアターの『スーパーナチュラル・ワイフ』の公演がありました。これはダンスと演劇が融合した作品です。
私は11月30日の公演を見ました。休憩なしで65分間でした。
ビッグ・ダンス・シアターは1991年に、ニューヨークで創立されたカンパニーです。ダンス、音楽、朗読、ビジュアル・デザインなどを使って表現していることで知られています。世界各国で公演をしていて、これまでに多くの賞を受賞してきました。
創立者の2人、振付家・芸術監督のアニー・B・パーソンともう一人の芸術監督のポール・レイザーは、NYU(ニューヨーク大学)の現役の講師でもあります。

ny1201b01.jpg Photo (C) Julieta Cervantes

『スーパーナチュラル・ワイフ』とは、ギリシャ悲劇の『アルケスティス』を題材にした作品です。古代アテナイの三大悲劇詩人の1人、エウリピデスによるギリシア悲劇で、紀元前438年のディオニューシア祭にて上演されたものです。
今回の作品の出演者は6名で、音楽はジェーン・シャウ、ビデオワークはジェフ・ラーソンです。劇中に出てくるダンスについてレポートします。
始まる前から舞台前方のスクリーンに映像が流れ続けていました。
映像のスクリーンが下げられると、舞台上に円形に6脚のイスが裏向きに置かれました。
そして5名のダンサーが出てきました。最初は男性2名、続けて女性3名が加わって、全員同じ振付で踊りました。ヘビメタ風の音楽で、とても速いテンポです。他に見たことがないような、個性的な振付です。彼らは演劇もやりますが、同時に訓練を積んだプロのダンサーでもありますから、本格的なコンテンポラリー・ダンスです。
突然、ダンスが止まってみんな消え、寸劇がありました。そしてまたダンスが始まり、また寸劇があり、交互に演劇とダンスが組み込まれて続きました。
女性ソロの長い踊りもありました。作品中でこの女性はところどころ、同じ振付で踊ることを繰り返していました。
6名が全員で、アカペラで歌うシーンもありました。 
後半になると、最初からソロで何度か踊っていた一人の女性がカートに乗せられて出されてきて、その上で立ったままじっと動かず、顔にはベールがかけられていました。お亡くなりになった様子です。
周りの人が女性の顔のベールをはがしても、女性は立ったまま硬直して動きません。周りの人々は彼女に話しかけて、みんな泣いていて、悲しんでいます。
全員が去ると、立ったままじっと動かなかったはずの女性が、外側の衣装を脱いで、ソロで前と同じ振付で踊り、それはリズムなしでだんだん激しい踊りになり、終わりました。
文学的で、演劇とダンスとマルチメディアを融合させた、新しいタイプのニューヨークらしい公演だと思いました。古い紀元前の演劇がベースになっている点も興味深かったです。
(2011年11月30日 BAM Harvey Theater)

ny1201b03.jpg Photo (C) Julieta Cervantes ny1201b04.jpg Photo (C) Julieta Cervantes
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