ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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皆様お元気ですか。日本では、台風12号や台風15号の被害に見舞われたこと、お見舞い申し上げます。ニューヨークはだんだんと秋が近づいてきています。街はハロウィーンの季節の飾りつけでいっぱいになりました。 ニューヨーク・シティ・バレエでは、ポール・マッカートニーが音楽(クラシックのオーケストラ)を作曲・編曲した作品『オーシャンズ・キングダム』の世界初演があり、話題になっています。(このレポートは来月にお届けします。)秋はBAMをはじめ、たくさんの興味深いダンス公演があるので、これから観劇が楽しみです。

夢のような空間芸術、シルク・ド・ソレイユ新作『ザーカナ』

CIRQUE DU SOLEIL “ZARKANA”
シルク・ド・ソレイユ『ザーカナ』

6月9日から10月8日まで、マンハッタンのラジオ・シティ・ミュージック・ホールにて、カナダのシルク・ド・ソレイユの新作、『ザーカナ』の公演が行われました。
これは最新の技術を使って、最高の人材を世界中から集めて作り上げた、アクロバティック・ロック・オペラです。バレエ、ダンス、アクロバット、ミュージカル、オペラが融合した、総合舞台芸術となっています。音楽は多数のミュージシャンたちによる生演奏なので、音楽だけでも素晴らしいパフォーマンスでした。オルガン、ピアノなどの鍵盤楽器は2台で連弾でした。全編通じて、男性と女性の2人の歌手が歌いました。とても豪華なショーです。休憩をはさんで、合計で2時間のショーでした。

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芸術監督と脚本はフランソワ・ジラールです。カナダのケベック州出身で、映画監督、脚本家としても活躍しています。映画、オペラ、ヴィジュアルアーツ、演劇のすべてにおいて同じ程度の適性を持つ才能の持ち主の監督と言われています。制作監督はライン・トレンブレーです。
ジラール監督は「ニューヨークのラジオ・シティー・ミュージック・ホールは、世界で最も大きなフライ・システムがあるシアターなので、そのスケールのほとんどすべてを生かして使うことは、一番チャレンジングなことだった。」と語っています。(フライ・システムとはシアターの技術で、舞台の上からセットやライトを動かすためにつるす、ロープやその他の装置のこと)
なるほど、確かに、このラジオ・シティー・ミュージック・ホールの舞台は、他では観たこともないくらいに、縦も横もとてつもなく大きかったです。客席で観ていると、その圧倒的な広さの舞台の世界の中に、我を忘れて吸い込まれていきました。舞台から客席へピエロが宙を舞うシーンもありました。
衣装も舞台セットも大掛かりで、全体が美しく夢の世界が広がっています。舞台後方全体には、CGを駆使してつくった立体的な映像が動き、幻想的な世界をさらに強調していました。舞台セットデザイナーは、ステファン・ロイ。ガウディーとクリムト、アール・ヌーヴォーにインスパイアされてデザインしたそうです。音楽は、オーストラリア出身の音楽家でプロデューサーのニック・リトルモアです。

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このショーはストーリーがあってミュージカル仕立てですが、アクロバットやダンスのショーとしても次々に場面が展開するので楽しめます。
愛する人を失い、マジックの能力も失ってしまったマジシャンのザークが主人公です。ザークは見捨てられ、泣きながら、神に祈っていると、不思議な世界へとワープしてしまいました。そこで、様々な不思議なアクロバティックなショーが展開されていきます。アクロバットだけではなく、バレエやダンスの要素もたくさん盛り込まれていました。
パフォーマンスしている出演者たちは、オリンピック級に訓練を受けて鍛え上げられていて、恵まれた肉体で、普通のダンサーでは出来ない究極の技を披露していました。驚きの連続ではらはらしました。とても見ごたえがありました。
綱渡り、平均台、トランポリン、空中ブランコなどもありました。
平均台は、オリンピックの競技のような技を披露していましたが、このショーでは、その平均台がしなる棒のようなもので出来ていて、その両端を男性が一人ずつ持っていました。そしてその男性達は、しなる平均台を上下に動かして、上に乗っている女性を勢いをつけて上にジャンプさせたり着地のときに受け止めたりしていました。女性は上で空中で回転して棒の上に着地を繰り返していました。最後に、空中でジャンプしている最中に一回ひねりを入れて着地する、月面宙返りを平均台の上でやって着地もその上にしたので、驚きました。
体操のように、男性の頭の上によじ登って立ち、その上で開脚して静止しているところもあり、それがやがて3組になり並んでいるところを、その舞台上の左右にいる男性たちが右から左へと女性を上に放り投げてジャンプし、その3組たちの頭上で女性が開脚して、また反対側へ着地して男性たちに受け止められるというシーンは、圧巻でした。
空中から吊り下げられている長いロープを使って、男女ペアがロープを身体にからませてしがみつきながら、その空中でゆられている最中に、様々なパフォーマンスを見せたところもすごい迫力でした。女性は上で開脚してポーズをきめていました。これも、舞台上の空間を大きく縦横無尽にブンブンと速く動いていて、その空中でアクロバットをしていたので、スリル満点でした。

最後のほうに出てきた、ダンス作品としても圧巻だったのは、白い上下の衣装を着た小柄な男性が、音楽に合わせて丸いお立ち台の上で踊ったところです。そのダンスもこれまた、普通のプロのダンサーでも難しい技で、片腕で全身を持ち上げてバランスをとって静止していました。その静止は、上で大開脚したり、右や左に身体を傾けたりしていて、その間、本当に片腕しか床につけていなかったです。また、立ったまま両手をつかずに、だんだんと床に足をすべらせて180度開脚して、また両手をつかずにスーッと180度開いた両足を閉じていって立ったところも驚きました。彼は音楽にあわせて、何度も形を変えて、これを繰り返していました。
舞台背景は、CGで作られた大きな多数の蛇が動いたり、大きな多数の目玉がしたから上へとプカプカ上がっていったり、真っ赤なバラのつぼみがだんだん花開いていったりして、幻想的で良かったです。
すべてが最高水準といえるものばかりで見ごたえがあった公演です。
(2011年9月22日 ラジオ・シティー・ミュージック・ホール)

 

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Pictures credit : Jeremy Daniel, Richard Termine
Costume credit : Alan Hranitelj (c)2011 Cirque du Soleil
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