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恒例の熱いフェスティバル、大いに盛り上がったダンスアフリカ

Dance Africa 2010
ダンスアフリカ 2010

1977年から続いているダンスアフリカというフェスティバルが、ブルックリンのBAMで5月28日から31日まで開催されました。これはニューヨークのアフロ・アメリカンの人々の祭典なのです。毎年アフリカからダンス・カンパニーとパーカッショニストたちが招聘されるので、本物の伝統的なアフリカン・ダンスを観ることができる貴重な機会です。とても明るくて楽しいものなので、私がとても好きなフェスティバルなため、毎年楽しみにしています。私は初日の5月28日の夜の公演を拝見しました。
主催者代表のババ・チャック・デイビスも太陽のように明るいキャラクターで健在で、舞台上で時々挨拶にでてきていました。
最初、舞台が始まる前に、客席の後ろのほうから白いアフリカの民族服を着た人々が順番に大勢中に入ってきて、客席の間を通って前のほうにいきました。太鼓をたたきながら少しずつ進んできました。だんだん、前に着いた人から一人ずつ舞台上に上っていきました。舞台の後方はいっぱいに夜空のように小さな明かりがともされていました。星空のようで綺麗でした。照明はほとんどなく暗かったです。

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一つ目の演目はダラス・ブラック・ダンス・シアターです。1976年から続いているテキサスのダラスからやってきたカンパニーです。ダラスで一番古いダンスカンパニーだそうです。
腰みののような衣装の男性達とスカートの上に短い腰みのをつけた女性たちが次々にでてきて、リズム感抜群の本格的なアフリカン・ダンスを披露しました。
この大勢が踊ったあとに、男性一人、女性2人のダンサーが踊りましたが、彼らはモダンダンスやコンテンポラリーの基礎が素晴らしくできているとてもプロフェッショナルなダンサーたちでした。アルヴィン・エイリーのような踊りでした。上手でした。
次にババがまた出てきて、大勢の白い民族衣装を着た人々も大勢でてきて、みんな手にろうそくを灯して舞台上に上ってきました。ときどき太鼓をたたきながら歩いている人々も混じっています。メモリアルの儀式をしていました。彼らのご先祖様たちに捧げるお祈りです。そしてアメリカにちなんだ亡くなった黒人たちの名前を一人一人読み上げていきました。それが終わると再び、全員がもと来たほうへと一人ずつ舞台を降りて客席を通って歩いて消えていきました。

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次の演目は、パモヅィ・ダンス・トゥループで、アフリカのザンビアから招聘されたカンパニーです。
6名の男性が大きな太鼓をたたいていて、男女7名が手をたたきながら歌っていました。
ダンサーたちは次々に大勢でてきましたが、全員、腰を左右にものすごい速さで連続で振り続けていて、あまりの速さにビックリしました。人間はあんなに早く腰を振れないなと思うくらいのすごい速さで動かしていました。さすが本物のアフリカのダンサーたちです。
一人、お面をかぶった男性がでてきて、彼もこの世のものと思えないくらいのものすごい速さで腰を左右に振り続けて激しいアフリカンダンスを披露して、会場もハイテンションになり盛り上がりました。
そしてババがまた登場して、ご挨拶やダンスアフリカについての説明をしていました。今年はブロードウェイの黒人のミュージカルの『フェラ!』がトニー賞にノミネートしたそうで、それに出ているダンサー達も今晩数名が出演すると言っていました。

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続いての演目は、BAM・レストレーション・ダンスアフリカ・アンサンブルで、ニューヨークの地元でダンスアフリカが主宰しているアフリカン・ダンスを若者が学ぶユースプログラムです。子供たちや青年たちがアフリカンダンスを披露しました。男女ともに、頭にターバンのような布を巻いて、腰みののようなものをつけていました。男性達が後ろで太鼓をたくさんたたいていました。生演奏の太鼓は客席にまでズンズンと響いて、すごい迫力です。
ダンサーの女性たちは、さきほどのザンビアから来たダンサーに負けないくらい、ものすごい速さで左右に腰を振り続けて踊りました。ニューヨークの子たちとは思えないくらいの本格的なアフリカン・ダンスでした。
ニューヨークで生まれ育っても、自分たちのルーツであるアフリカの文化(ダンス、太鼓、民族衣装など)をニューヨークで大切にして習って再現している彼らは、素晴らしいなと思いました。

休憩をはさんで第二部では、最初は黒人の若者に奨学金を授与する表彰式でした。これも素晴らしいなことだなと感心しました。
次の演目はまた、ザンビアのパモヅィ・ダンス・トゥループです。これは、3つのシーンから成り立っている長めの作品でした。太鼓をたたく男性パーカッショニストが6名なので、その音の分厚さは大迫力でした。
儀式とか、何かおまじないのようなことをしていたり、ストーリーになっているようでしたが、基本的にはさきほどのように太鼓の激しい演奏と、ダンサー全員が激しく左右に腰を振り続けながら前進していくことが中心でした。アフリカらしいなと思いました。

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最後はイルスタイル&ピース・プロダクションズです。フィラデルフィアからやってきたカンパニーです。2002年に結成されたそうです。
これは見事でした!とても見ごたえがありました。現代的な黒人音楽とダンスのヒップホップとハウスのダンス・カンパニーで、全員黒人です。バレエの基礎がある人達で、タップもできるそうです。本物の、しかもハウスが盛んなフィラデルフィアの黒人男性ばかりのカンパニーですから、そのダンスバトルのすさまじさと迫力はすごかったです。この晩、一番盛り上がりました。
本場のものは違うのだな〜と感心しました。今までダンスアフリカでこのような現代的なダンスカンパニーが出演したのはたしか初めてだったのでラッキーです。思いがけず、良いものを観させていただきました。
男性達8名がでてきて、ゆるめのパンツとTシャツとスニーカーといういでたちでした。リアルアフリカのリズムのエレクトリック音楽で、ヒップホップのようなダンスバトルを順番に舞台上で繰り返しました。ストリート風です。
バック宙やバック転をくりかえす人も2〜3名いました。ブレイクダンスも入れていました。その身体能力は圧巻でした。
最初はヒップホップのリズムだったのに、次第に曲が速くなりハウスに切り替えられてガンガンになっていきました。ハウスの早いリズムで、ロボットのような動きをしたり、それぞれが色々な踊りをしていました。そしてブレイキングのバトルを順番に披露しました。
本場フィラデルフィアのハウスの踊り方を知りました。観ているだけで勉強になってとても面白かったです。
途中、一人の男性が逆立ちしたまま舞台の真ん中から客席へと階段を逆立ちで降りてしばらくそのまま前進してまたそのまま逆立ちしたままで向きを変えて、逆立ちで階段を上って舞台に帰っていきました。客席はみんなビックリしていました。ダンサーというより、サーカスみたいです。
さらに、別の男性が舞台の真ん中で、頭を下にして軸にして逆立ちで身体を回転するブレイキングの大技を疲労していました。その横を数人がバック宙で通り過ぎていきました。これは最高に盛り上がりました。
そしてフィナーレでこの晩に出場した人々が全員、出てきました。客席一体となって盛り上がった熱いフェスティバルでした。大満足です。
(2010年5月28日夜、BAM ハワード・ジルマン・オペラ・ハウス)

Photos (C)Julieta Cervantes
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