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皆様、こんにちは。お元気ですか。 私は出版と講演会の仕事のために、海外に出て初めて長期間で一時帰国しています。2月に毎年恒例のフラメンコフェスティバルがありましたが不在だったため、写真を送っていただきました。これはニューヨークタイムスで「ニューヨークで最も重要なフェスティバルの一つ」と呼ばれ太鼓判を押されている公演です。

中世の豪華絢爛な装置と衣装による悲劇 マーティンスの『ロメオとジュリエット』

New York City Ballet
ニュ-ヨーク・シティ・バレエ
Peter Martins " Romeo & Juliet"
ピーター・マーティンス『ロミオとジュリエット』
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1月5日から2月28日まで約2ヶ月間、リンカーン・センターにて、ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)の冬の公演期間でした。普段の公演では3つくらいの小品集が多いのですが、今回の公演では、特に長編のバレエ作品が多く上演されていました。
1月13日に『ロメオとジュリエット』を観に行きました。
2幕で構成されています。原作はウィリアム・シェイクスピアによる悲劇の戯曲です。音楽はセルゲイ・プロコフィエフ作曲です。
ニューヨーク・シティ・バレエでのこの作品の振付はピーター・マーティンスで、初演は2007年5月1日です。

ジュリエットはスターリング・ヒルティン、ロメオはロバート・フェアチャイルド、ロメオの友人たちマキューシオはダニエル・ウルブリヒト、ベンヴォーリオはアントニオ・カルメナ、ジュリエットのいとこティボルトはホアキン・デ・ルースです。ジュリエットのキャピュレット家夫妻はダーシー・キスラー、ジョック・ソト(元NYCBのプリンシパルでゲスト出演)。貴族の青年パリスはアドリアン・ダンチヒ=ワリング、修道僧ロレンスはジョナサン・スタフォードです。
以前にレポートしたことがありますので、印象的だったシーンについてレポートします。
舞台セットも衣装も豪華絢爛で、中世の豪華な建物と女性たちのドレスなどがゴージャスでため息がでそうなほどです。舞台全体が重厚な絵画のようなので、視覚的にも目の保養になります。

第一幕の始まりから劇的な音楽で、幕が上がる前から鳥肌が立ちました。仮面舞踏会で恋に落ちるロメオとジュリエットは、2人で静かな可愛らしいパ・ド・ドゥを踊りました。いつもなぜか耳に残る音楽と目に焼きつくのですが、マキューシオ家のジュリエットや両親たちが数名で踊るところは印象的なシーンです。この踊りの振付は簡単ですが貴族の気高い誇りがよく現れていて、重厚な感じがでています。
ジュリエットとその女友だち6名で踊るところは、少女らしい明るくて軽やかで可愛らしい、春のような踊りです。若々しい感じがよくでています。

第一幕最後に一番盛り上がるところは、有名なバルコニーのシーンです。夜になり、ジュリエットが家のバルコニーで物思いにふけっていると、庭にロメオが忍び込んできました。彼を見つけてジュリエット庭に降りてきて、2人で踊りました。リフトが多いパ・ド・ドゥで、暗闇の月光に浮かび上がるように2人のシルエットが照らし出されて幻想的です。音楽も振付もロマンティックで、とても美しい。何度もキスをして抱きしめあい、名残惜しそうにジュリエットはバルコニーの上に帰り、ロメオは下にいて上のジュリエットとともに2人で投げキッスをして、ロメオは走り去って行きました。ジュリエットは胸を手で押さえて天を見上げて、恋心がこみ上げてくる感じを表していました。客席はとても盛り上がり、すごい拍手でした。

第二幕も、始まる前は音楽が先に演奏され始めて、しばらくオーケストラの美しいロマンティックな音楽だけが鳴り響きました。そして教会でのシーンが始まりました。ロメオとジュリエットは教会の修道士のところを訪れ、密かに2人だけで結婚します。修道士は2人を祝福しました。
ヴェローナのストリートで争いが起こり、ティボルトに親友のマキューシオを目の前で殺されたロメオは逆上して、2人は激しい決闘になり、ロメオはティボルトを刺し殺してしまいました。そしてヴェローナから追放されていまいました。
ロメオはジュリエットの寝室に忍び込み2人は初夜を過ごしますが、ロメオは街を出て行かねばならず旅立つために窓から出て行ってしまいました。

その後ジュリエットは修道士ロレンスからもらった仮死状態にする薬を飲んで倒れると、周囲はお葬式のあとジュリエットを安置所に置いて去っていきました。婚約者だったパリスが一人残ってたたずんでいるところに、ジュリエットの死を聞いたロメオがやってきて、パリスを5回くらい刺して殺してしまいました。

仮死状態で動かない死体のようなジュリエットを抱えて、ロメオがパ・ド・ドゥのように踊るところも印象に残るシーンです。死体を抱えて動かして踊ろうとしている様子がよく表現されている振り付けです。でもやがてロメオは持ってきた毒を飲み干してジュリエットの側で死んでしまいます。
仮死状態から目を覚ましたジュリエットはロメオの死体を観て嘆き悲しみ、彼の短剣を抜いて胸を刺して自殺してしまいました。
やがて3人が死んでいるところに、修道士ロレンスに連れられて大勢の家族たちがやってきましたが間に合わず、呆然として嘆き悲しみました。そこで幕を閉じました。
悲劇的ですが、幕を閉じるときは客席は大拍手で盛り上がりました。感動的でした。
 (2010年1月13日 リンカーンセンター、デビッド・H・コッチ・シアター)