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ニューヨークも秋になり涼しくなりました。一年で一番過ごしやすい季節です。 毎年恒例のBAMの「ネクスト・ウェーブ・フェスティバル」が始まりましたので、今回はそのレポートをお送りします。 9月はニューヨークではクラシックバレエの主な公演はありませんでしたが、10月にはアメリカン・バレエ・シアターの秋の公演とザ・ウィールドン・カンパニーの公演があります。バレエ公演が楽しみな時期の到来です。

ビノシュとカーンの『イン・アイ』がニュ−ヨークのBAMに登場

JULIETTE Binoche and AKRAM Khan " In I "
ジュリエット・ビノシュとアクラム・カーン『イン・アイ』

毎年恒例、今回で27年目を迎えたBAMのネクスト・ウェーブ・フェスティバルが始まりました。9月15日から12月19日までの開催です。いつもBAMには世界各国から、主要な面白いダンスカンパニーが続々と招聘されるので、必ずチェックするようにしています。
 

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今回は私が観たのは『イン・アイ』で、初演は2008年9月ロンドンです。今回のBAMでの公演は、9月15日から26日まで行われました。
フランス・パリ出身の女優ジュリエット・ビノシュと、イギリス・ロンドン出身でバングラディッシュ系の振付家・ダンサーのアクラム・カーンのコラボレーションでした。2人による演出と振付で、出演も2人のみです。
アカデミー助演女優賞受賞の女優ビノシュと、コンテンポラリー・ダンスが盛んなニューヨークでとても注目されているカーンの共演ということで、客席は満員でした。アクラム・カーンはニューヨークでも根強い人気があります。
音楽は作曲家のフィリップ・シェパードによるものです。

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男女の出会いと様々な恋愛模様をテーマにした作品で、休憩なしのノンストップ、70分の作品でした。
印象に残ったのは舞台セットです。舞台の後方真ん中に大きな白い壁があり、その前に、上手と下手に1つずつ簡素なイスが置かれていました。舞台全体が暗い中、白い壁に赤など色の照明が当てられていて、浮き上がって見えました。
音楽が小さく流れているところにナレーションが続き、それに沿って2人の演技とダンスが続きました。迫力があり緊迫した演技と振付の演出でした。ダンスの振付は音楽やリズムとは関係がないようで、ナレーションと感情の動きに合ったもので、強弱が強調されていてメリハリがあり、よかったです。客席で観ているとそのピンと張り詰めた緊張感に引き込まれ、彼らの動きに自然に意識が集中していきました。

最初は白い壁が映画館のスクリーンに見立たてられ、映画館の中で男女が出会うストーリーから始まりました。
女性が男性を追い、男性は逃げ続けたり、拒否したり、大喧嘩したり、一晩を共にしたり、夜から朝になったり、トイレで用を足したり、と様々なシーンが次々に展開されていきました。
ビノシュが激怒して去り、アクラムが一人残されて狂ったように激しく踊るシーンが、彼のダンスの本領を発揮していて良かったです。
途中、後ろの大きな白い壁を使って、壁に2人でもたれながらリフトで女性を持ち上げて動いて表現したり、ビノシュの背中が壁にはりついて静止して宙に浮いたまま演技していたところなどが、この作品の場面のハイライトになっていて印象に残りました。

アクラム・カーンの肉体はダンサーとして鍛え上げられていて美しかったです。ジュリエット・ビノシュもかなり引き締まった肉体で、演技だけでなくダンスの動きも良かったです。
(2009年9月19日夜 BAM ハーベイ・シアター/Photo:Jack Vartoogian)