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バランシンの美しく幻想的なコメディ『真夏の夜の夢』

New York City Ballet
George Balanchine "A Midsummer Night’s Dream"
ニューヨーク・シティ・バレエ
ジョージ・バランシン『真夏の夜の夢』
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毎年この季節、6月下旬の夏至の頃の風物詩になっている、ニューヨーク・シティ・バレエの『真夏の夜の夢』の公演がありました。原作は16世紀にシェイクスピアによって書かれた喜劇形式の戯曲。メンデルスゾーンがこの戯曲に基づいて同じ名前の音楽を作曲していることはよく知られています。バランシンはこの戯曲を1962年に振付けて、ニューヨーク・シティ・バレエが初演しました。この作品は、何度観ても、夢心地になる素晴らしい作品です。

6つのシーンからなる全2幕構成です。舞台セットも衣装もすべて、キラキラと輝いていて豪華絢爛、夢のような舞台です。妖精の国のお話なので、とても幻想的な美しいシーンが目に焼きついています。子供たちもたくさん小さな妖精として出演する大掛かりな舞台でした。
アンドリュー・ヴェイエット(妖精の王オーベロン)、スターリン・ヒルティン(ハーミア)、第二幕にはジェニファー・リンガー、ジャレド・アングルなどのプリンシパル・ダンサーが出演しました。

森の妖精たち、パック、妖精の王オーベロン、妖精の女王タイターニアは、みんな頭に小さな角が生えていました。大勢の妖精たちもみんな、背中に半透明の小さな羽根をつけていてとても可愛いかった。
第一幕の最初、森の奥のシーンは、舞台セットが深い緑で、つる状の植物で覆われたような空間で、照明も淡かったです。さらにもっと地面に近い大きな葉っぱで囲まれた舞台セットにもなりました。全体がとても幻想的な妖精の国そのものの演出になっていて、絵本の世界の中に入り込んだようでした。
ダンサーは、この作品では踊りの要素だけでなく、顔や身体全体の表情でそれぞれのキャラクターの特徴や感情とドラマを演じています。演技力もみんな情感がこもっていました。
タイターニアとオーベロンのパ・ド・ドゥのあと、女性の妖精たち12名が踊るシーンは、手前の照明が深いグリーンで、後ろの照明が水色から紫のグラデーションで鮮やかな中にも森の深みがあり、とても美しかったです。オーベロンが作る恋の媚薬は、この舞台では、赤い花に矢を飛ばして差して、その花で表現していました。
 

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第二幕は結婚式のシーンでは、有名なメンデルスゾーンの「結婚行進曲」が流れます。第一幕でいろいろドタバタがあったけれど最後は無事にハッピーエンドで収まった3組のカップルが踊りました。男女6組が群舞を踊り、中心のプリンシパル、ジェニファー・リンジャー、ジャレド・アングルのパ・ド・ドゥがありました。静かな曲調でゆっくりと、とても優雅が踊りでした。
その後、3組のハッピーなカップルがまた、一組ずつ次々に踊り、最後に全員でこのシーンのフィナーレを踊りました。

ラストシーンはまた森の奥のシーンに戻り、子供たちの妖精がたくさん出てきました。仲直りしたタイターニアとオーベロンは、その中心で歌とコーラスにのせて踊りましたたが、踊りと歌ととてもよく調和し素敵な雰囲気に包まれました。2人ともお供の妖精を2名ずつ従え、長い長い白い薄いヴェールとともにゆっくりと消えて行きました。
そしていたずらな小妖精のパックが、ほたるの光りが点滅する空中を飛び去って幕が閉じました。とても美しく劇場中、すごい大拍手でした。
(2009年6月18日夜 ニューヨーク・ステート・シアター)