ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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皆様、お元気ですか。 ニューヨークは4月下旬まではダウンジャケットが必要なくらい寒い日が続いていたのに、急に夏のように暑くなってきました。マンハッタンの桜も満開です。毎年ニューヨークはゆるやかな春がなくて冬から急に暑くなります。4月28日からはニューヨーク・シティ・バレエの春の公演が始まります。5月下旬からはABTのシーズンも始まります。これから夏にかけて、ニューヨークではバレエの公演が真っ盛りになるので楽しみな季節でもあります。

ヴァルナのジュニア・グランプリ受賞のホイットニー・ジェンセンが喝采を浴びる

JOHN PRINZ & FRIENDS
ジョン・プリンツ&フレンズ

4月5日夜、エイリー・シティグループ・シアター(405 West 55 Street)にて、ジョン・プリンツ&フレンズの公演が行われました。10作の小品集で、それぞれ様々な振付の作品で様々なダンサーたちが出演しました。中にはコンテンポラリーの作品もありましたが、ほとんどがクラシック・バレエ中心でした。

この公演の芸術監督ジョン・プリンツは、イリノイ出身で1963年にニューヨーク・シティ・バレエに入り、長年プリンシパルを務めました。その後1970年から79年までABTでプリンシパルを務め、1978年からはバレエの教育に携わり、後世の育成に従事しています。現在、彼のオープンクラスはダンススクールSTEPSで毎週受けられます。このクラスは一般の人もいつでも1回限りでも受けられるので、日本在住の方でも旅行中に彼のレッスンを体験できます。

この公演には、ニュージャージー・バレエやコネチカット・バレエからも出演していました。
今回の一番の注目のダンサーは、ユタ州出身の16歳のホイットニー・ジェンセンです。彼女は現在「アメリカのホープ」と呼ばれるほど注目されているバレリーナの卵なのです。2008年7月のヴァルナ国際バレエ・コンクールのジュニア部門でグランプリを受賞しました。ホイットニーはアメリカで初めてこの賞(44年間の歴史)を受賞した女性ダンサーです。すでにユース・アメリカ・グランプリではシルバーメダルを獲得しています。彼女は現在まで、7つのゴールドメダルと1つのシルバーメダルを受賞しています。

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ホイットニー・ジェンセンは、『プレイ』というイガール・ペリー振付作品を踊りました。この作品をヴァルナ国際バレエコンクールで踊ってグランプリを受賞したそうです。
イガール・ペリーはこのコラムにも時々公演の様子をレポートさせていただいてきましたし、1度インタビューしました。ニューヨークの振付家でダンススクール主宰者です。すごく繊細でアーティスティックなすばらしい作品を多く作っていて、私はイガールのファンなのですが、ホイットニーの受賞の後、その振付も注目されていくかもしれません。現在、イガールはダンススクールのビルを1つ、まるごと改装建設中なので、オープンが楽しみです。(現在もマンハッタン内の別の場所でダンススクールを継続中で、日本人留学生も多く迎え入れています。)
当日の休憩時刻に、イガールとばったり会いました。やはり観にきていたのですね。またこの作品についてもインタビューする予定です。

『プレイ』は、リズムが不規則で難しいパーカッションだけの音楽でした。ホイットニーはブロンドの美人でスタイルも良く、とても美しい方です。黒レオタードを着て登場しました。リズム感が良く、リズムを正確にとってメリハリを付けた踊りをしていました。イガールらしい右回転と左回転が何度も入れ替わり、繰り返される難しい振付でしたが、彼女はとても安定しきった余裕のある踊りを見せました。感性が素晴らしく、顔や手の表情が豊かでした。さすがと思いました。踊り終わった後、客席の大勢が立ち上がり拍手を送るすごい盛り上がりでした。

ホイットニー・ジェンセンは最後にも『アレルキナーダ』というマリウス・プティパ振付の作品を踊りました。ニュージャージー・バレエのアルバート・ダヴィドフとのパ・ド・ドゥで、ホイットニーは青いチュチュを着ていました。やはりホイットニーは身体の中心軸がしっかりしていてビクともしなかったです。すごく安定した踊りで、軽々と踊っているように見えました。ピルエット6回転も軸が一瞬もビクともしませんでした。リフトとソロの踊りも見れました。男性はバック宙もしていたので驚きました。ホイットニーは手や首、顔の表情も豊かでバレエの表現に欠かせない感受性がとても豊かなダンサーです。終わった時は客席中が立ち上がって、すごい拍手につつまれました。
(2009年4月5日夜 エイリー・シティグループ・シアター)