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ピナ・バウシュの不思議な世界『バンブー・ブルース』

Tanztheater Wuppertal Pina Bausch Pina Bausch: Bamboo Blues ピナ・バウシュ『バンブー・ブルース』

  12月11日から20日まで、BAM ハワード・ジルマン・オペラ・ハウスにて、ピナ・バウシュが率いるヴッパタール舞踊団による、『バンブー・ブルー ス』の公演がありました。ピナ・バウシュは1973年にヴッパタール舞踊団の芸術監督に就任して以来、世界的に活動を続けています。今回の公演は、インド のインスティトュートがCoープロダクションとして協力していて、インド色がありました。1回の休憩を入れて、2時間20分の作品です。

 ピナ・バウシュの演出は、ダンスと一口にジャンルわけできるものではなく、全体が演劇とダンスが混じったような、とても前衛的なものです。
普段の何気ない仕草まで振付に入れてしまい、舞台上には同時に何個も違うシーンが重ねられていて、多重に違う映画を観ているような感じです。彼女独特の、他の誰にも似ていない、不思議な世界が繰り広げられます。とても美しくて不思議でアーティスティックな舞台です。

 最初、後ろの壁いっぱいの白いカーテンが風で横になびいていて、そこから一人のインド風のロングドレスの女性がでてきて、その風に一緒になびいて いる感じで踊りました。寝転がったり、立ったり、しゃがんだり、黒髪のロングヘアーもなびかせて、自然な動きで踊っていました。両手を多く使い、手をなび かせるような踊りでした。
そこに、次々に、ガムをかみ続けているロングドレスの女性たちが出てきました。男性が一人、イスに座って、女性に自分の両足裏をライトで灯させて、同時にその後ろ真ん中の台に乗った女性が、サーカスのような曲芸をセクシーにやってみせていました。

 男性ダンサーのソロが、インド風の、リアルアフリカのリズムの音楽で、風になびくような踊りをしました。左回転、右回転を交互に繰り返していました。
そして、ハイヒールで女性たち2人が上手後ろから斜め前に進んできて、大きな白いシーツのような布を腰に巻いてでてきて、4拍子で4歩、1拍ずつ足を踏 み出して歩き続けて、その白い布を巻いたり、結んだり、めくったり、2人とも同じ動きをそろってし続けて進み続けていました。
次々に同じように、女性2人組が、2人で同じ動きを布を使ってしながら出て来て、同じリズムと歩調で進み、女性は3組続けて出てきて、通り過ぎていきました。
4組目、5組目は男性2人でした。男性たちはヌードに布だけ着けてきたので、客席は笑が起こりました。そこに、フラフープを持った女性がでてきて、男性がフラフープ越しにキスしようとしていました。
ワイングラスを持った女性が出て来たり、クリームを持った女性がでてきて、客席の一番前の人のおでこにクリームを塗っていました。
後ろから男女2名が寝転がりながら出て来て、進んで消えていきました。

 ピナ・バウシュの舞台は、早くもゆっくりでもない同じテンポで、同じような調子とテンションの何気ない動きが、舞台上で同時に行われ続けていき、 続きます。延々と別の新しい動きが続ては消えていくので、観ていると、だんだん夢の中にいて幻を観ているような錯覚になり、不思議な世界に引き込まれてい きます。シーンは次々に移り変わっていきます。

 途中、時々、ダンスのシーンもありました。女性がソロで、インドの曲で激しい踊りをしていたところは印象に残りました。
曲が変わり、女性ソロで、ボサノヴァのようなブラジリアンのリズムで、変わった不思議な踊りをしました。同じ曲で男性のソロの踊りが続き、その周りでは、大勢の男性が寝転がってうごめいていました。
女性が出て来てイスに座り、バケツを抱えて、顔を中につけてじっとして、顔を上げると顔に付いた水が飛び散って垂れて、ドレスをぬらしました。男性が走って通り過ぎました。それを2回繰り返しました。

 印象に残ったところは、黒髪の女性のダンサーがまたでてきて、一番最初の振付と同じ踊りをして、そこに男女2名が出て来て、男性が女性の足首を持って上から垂らして、ぐるぐると女性を回すと、女性が手に持ったチョークで床に円がたくさん描かれていったところです。
他は、少しリズムが早くなり、女性ソロが肩、足、ウエストに電球をいくつかつけて、インド風のダンスを踊っていて、後ろの画面にはインドの人形が映り、その周りで男性がローラースケートで動き回るところも面白かったです。
次に扇風機が9台でてきて、頭に大きなゾウの頭をかぶった女性がドレスででてきました。
ずっとこのような、前後のつながりが関係ないシーンと動きが次々に重なり続けていきました。
最後は、みんな一列にならんでおじぎをしているところに、後ろで女性がソロで踊り続けているところで終わりました。
客席は立ち上がり、すごい拍手でした。
(2008年12月16日夜、BAM ハワード・ジルマン・オペラ・ハウス)