ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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 皆様お元気ですか? ニューヨークは、夏らしくなってきました。暑い日が続いています。私は、このコラムを続けさせていただいていることで、バレエやダンスをコンスタントに観続けているお陰で、その度に感動し、癒され、パワーを受けて、随分と救われていることに気がつきました。素晴らしい作品を観ると、鳥肌が立ち、自分にパワーが充電されます。2年以上、厳しいニューヨークで元気を保ってやってこられたのも、バレエやダンス鑑賞のお陰だと思います。生の公演は、素晴らしいですね。 さて、今月は、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)とニューヨーク・シティー・バレエのシーズン中なので、取材してきました。また、ト二―賞にノミネートされていた宮本亜門のブロードウェイ・ミュージカル『太平洋序曲』の、賞の発表前の記者会見にも行って来ましたので、そのレポートもお届けします。

●ニューヨーク・シティー・バレエのマーティンス、ウィールドン、バランシン作品

4月26日から6月26日まで、リンカーンセンターで、ニューヨーク・シティー・バレエの春のシーズン公演中です。5月31日の公演を観にいきました。3つの小品集です。

『オクテット』は、ピーター・マーティンズ振付の作品です。音楽はメンデルスゾーンで、初演は2003年11月です。春のような、柔らかいイメージの作品でした。少人数で中心的なダンサーは、4人と数名の群舞です。同じ振付を数人で交互に、まるでこだまのように繰り返すシーンがとても多かったです。印象的な振付は、男性がジャンプしてアティテュードのまま空中で1回転したところです。また、ピケのまま軸足をドゥミプリエして、軸足と反対方向へ後ろ向きに回転する振付も個性的でした。

『アフター・ザ・レイン』は、5月10日号でインタビューした、ABTのプリンシパル、アンヘル・コレーラが、最近観た中で好きな作品だと語っていたものです。この公演の目玉でしょう。私はこれを観るために行きました。初演は2005年1月で、振付はクリストファー・ウィールドンです。 2つのパートで構成されていて、最初はストリングスのリズムのない音楽から始まります。ゆるやかになったり、速くなったり。雨がシトシト降っている感じがよくでている音楽で、情景のイマジネーションが浮かぶものでした。舞台と衣装はモノトーンでシンプルです。クラシック・バレエですが、新しい現代的な感じの振付です。とても美しかったです。最初、女性たちが、180度の開脚のアラベスクで静止しているところから始まりました。女性がトウで立って、足を伸ばして少し広げたまま、男性にひきずられて登場してくるところも、新鮮でした。何組かの男女ペアが、同時に同じ振付をすることが多かったです。パート2では、3拍子の、雨だれが続いているような音楽になりました。プリンシパルのジョック・ソトとウェンディー・ウィーランのペアのみです。スローなリフトが多く、女性が空を飛んでいるような感じで美しかったです。リフト上で女性をゆっくり、くるくると回転させているところが印象的でした。音楽と振付とが合っていて、良かったです。最後は、観客のほとんどが立ち上がり、「ブラボー」という歓声と拍手が鳴り止まなかったほどでした。

『ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト』は、ストラヴィンスキーの曲で、ジョージ・バランシン振付の1972年の作品です。バランシンらしい、上品で優雅な振付でした。 女性がブリッジをしたまま移動する体操のような振りがあったので、驚きました。パントマイムの壁のような動きをするところも面白かったです。 ストラヴィンスキーの風変わりな音楽に合わせた、ちょっと変わった振付なのでしょうね。