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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2015.04.10]

地球と共鳴するリズムを踊ったキミホ・ハルバートの新作"Le Sacre du Prontemps"

UNIT KIMIHO Vol.4
"Le Sacre du Printemps"(春の祭典) "White Fields" キミホ・ハルバート:振付・演出

キミホ・ハルバートが主宰するユニット・キミホは、2001年に結成され、自然への優しさと清楚な美しさを感じさせるコンテンポラリー・ダンスを発表してきた。今回が4回目となる公演は、"Le Sacre du  Printemps"(春の祭典)の初演と"White Fields" が再演された。

tokyo1504h_1139.jpg 『Le Sacre du Printemps』
PHOTO: Yusuke Masuda

"Le Sacre du  Printemps" は、舞台全面を覆う真紅の幕が垂らされた下から女性ダンサーが這い出し来て、ダンスに関心を持つ人なら誰もが心の奥にまで染み込んでいる、ストラヴィンスキーのあの有名な曲が鳴り始める。さらに何人か幕から這い出してきて、オケピットに落ちたりすると、今度は客席に待機していた男性ダンサー続き、女性ダンサーも踊りながら、舞台上に集結する。そして曲に合わせて様々のフォーメーションを展開するのか、と予想したがそうではなかった。
グループ全体を運動させる。流動させる。その運動性自体がリズムを刻む。その意味では、過去に創られたベジャール作品とは異なり、21世紀的なグローバルな意識が舞台に脈打っている、と感じた。大まかに言って、舞台上の空間にダンスが自律したリズムを刻むのが20世紀のダンスだとしたら、この21世紀の振付家は地球全体が刻んでいるリズムを踊って表現を創ろうとしている、という見方があるいはできるかも知れない。
だとすれば、冒頭から登場し、ホリゾントに吊され、最後は舞台上に敷かれてその上でダンサーたちが踊る真紅の巨大な幕は、地球のマグマか、それとも生きとし生きるものに脈打つ“血”なのだろうか。すべての命を育むものの根源を象徴するものなのだろう、と思った。ちなみにキミホはあるインタビューの中で、ピナ・バウシュの『春の祭典』が好きでビデオテープが擦切れるまで観た、と告白していた。
音楽家は激しく力強く命の存在そのものを提出したが、振付家はその命の刻むリズムを宇宙と対峙させ共鳴させた。それはあの大震災を体験した芸術のひとつの形、と言える、と思うのだがどうであろうか。
 "White Fields" は、2009年に2部構成で発表したものをひとつにまとめた作品だ。ここでは自然と人間の共生をテーマとしている。5年ほど前---大震災の前----の作品だが、今日観るとその動きは少しだがその時代性を感じさせた。
(2015年3月14日 新宿文化センター 大ホール)

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『Le Sacre du Printemps』PHOTO: Yusuke Masuda

 

tokyo1504h_1629.jpg 『White Fields』PHOTO: Yusuke Masuda tokyo1504h_2600.jpg 『White Fields』佐藤洋介、キミホ・ハルバート
PHOTO: Yusuke Masuda
tokyo1504h_0349.jpg 『White Fields』作間草、佐藤洋介、ほか
PHOTO: Koji Iida
tokyo1504h_0890.jpg 『White Fields』菊池いつか、芝崎健太
PHOTO: Koji Iida
tokyo1504h_1074.jpg 『White Fields』PHOTO: Koji Iida