『ライモンダ』全幕を上演するバレエカンパニー ウエストジャパンが記者会見を開いた

ワールドレポート/東京

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

バレエカンパニー ウエストジャパンが第5回公演『ライモンダ』を開催するにあたって、9月19日、東京・市ヶ谷の私学会館で記者会見を開いた。
神戸に拠点を置くバレエカンパニー ウエストジャパンは、関西で舞踊活動をしているダンサーを中心に結成され、「リハーサルや基礎訓練の環境を整え、時代を担うダンサーたちがプロフェッショナルなダンサーとして自立していける」バレエ界の確立を目指している。代表は瀬島五月、副代表はアンドリュー・エルフィンストンである。
これまでには山本康介振付の『椿姫』『ジゼル』などの全幕の他に、『ショピニアーナ』『パキータ』森優貴振付『ルーキス・オルトゥス』瀬島五月振付『M.M.E』(サン=サーンス没後100年記念)『セレナーデ』山本康介振付『眠れる森の美女より"オーロラの結婚"』などを上演してきている。

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瀬島五月 © Ballet Company West Japan

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山本康介 © Ballet Company West Japan

今回、山本康介の改訂演出・補足振付による『ライモンダ』全幕を新制作し上演するにあたり、瀬島五月(ライモンダ)、アンドリュー・エルフィンストン(ジャン・ド・ブリエンヌ)に加えて、元バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル、厚地康雄が特別ゲストとしてアブデラフマンを踊ることが決まり、広く知らしめようと記者会見を開催した。
会見場では瀬島五月、山本康介、厚地康雄が登壇。瀬島がウエストジャパンについて、第1回から『ショピニアーナ』『パキータ』などのクラシック・バレエの基礎が詰まった作品から上演したことなどを説明し、舞台映像の一部を公開した。続いてリハーサル映像を上映して山本が『ライモンダ』を上演することの背景などを説明した。
周知のように山本はバーミンガム・ロイヤル・バレエでプリンシパルとして踊り、アシュトンの『誕生日の贈り物』などでもグラズノフの音楽に親しんできた。そしてヌレエフ版『ライモンダ』の第3幕によって、このプティパのクラシック・バレエの集大成ともいうべきバレエに深く関わってきた。そうした経験を活かして、日本ではどちらかというと理解されにくい宗教的文化的背景にも気を配り、できるだけ分かりやすく物語を展開していく。師のデヴィッド・ビントレーの「セッティングを明確にすれば自ずと振付も決まってくるはず」という言葉を忘れずにチャレンジしたいと言い、現代の時代感覚により、原典をリスペクトしつつ全体にテンポ良く展開し、今日の観客の心にしっかりと感じられる愛の物語を創ってみたい、と語った。

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厚地康雄 © Ballet Company West Japan

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© Ballet Company West Japan

また、厚地は、主役の王子役が多かったので帰国してからもそうした役で舞台に立とうと思っており、少し悩んだが、スタッフの舞台創造への熱い気持ちに応えて出演を決めた。バーミンガム・ロイヤル・バレエでも『ロミオとジュリエット』のティボルトや『白鳥の湖』のロットバルトを踊って高い評価を得ているので、思い切って踊りたい、と意気込んだ。
バレエカンパニー ウエストジャパンの『ライモンダ』全幕は、富田実里の指揮による神戸フィルハーモニックの演奏で上演される。関西で『ライモンダ』全幕が上演されることは貴重な機会になる、という。優秀なバレエダンサーを多数輩出している関西のバレエ界のさらなる発展に期待したい。

『ライモンダ』全幕 バレエカンパニー ウエストジャパン 第5回記念公演

●2023年11月23日(木・祝)15時開演
●神戶文化ホール 大ホール
原振付/マリウス・プティパ、音楽/アレクサンドル・クラズノフ、改訂演出・補足振付/山本康介
出演:ジャン・ド・ブリエンヌ/アンドリュー・エルフィンストン、ライモンダ/瀬島五月、アブデラフマン/厚地康雄(特別出演 元英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル)ほか
指揮:冨田実里 演奏:神戶フィルハーモニック
https://bc-westjapan.com/

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