ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2014.02.10]

チャイコフスキーの音楽とウクライナの文化が古典バレエの世界で融合した『白鳥の湖』

Kyiv Ballet The National Academic Opera and Ballet Theatre of Ukraine In memory of Taras Shevchenko
キエフ・バレエ タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ
"SWAN LAKE" Valerii Kovtun after M.Petipa, L. Ivanov, F. Lopukhov
『白鳥の湖』ワレリー・コフトゥン:演出・振付、マリウス・プテイパ、レフ・イワノフ、フョードル・ロプホーフ:原振付

キエフ・バレエの『白鳥の湖』はエレーナ・フィリピエワのオデット/オディール、デニス・ニェダクのジークフリート王子だった。

tokyo1402b_01.jpg 写真:瀬戸秀美 写真提供:KORANSHA

『ドン・キホーテ』と同様に、舞台上に固め物はなく、踊りのための広い空間として使っている。しかしたとえば、第2幕の宮殿のシーンでは、古代から伝えられてきた意匠の彫刻や紋様で飾り、ウクライナがロシアの最も古い国であることを表していた。また、ディヴェルテスマンのスペイン、ヴェネツィア、チャールダッシユ、マズルカなどの衣装は、美しい模様で彩られていて、踊りもあざやかな衣装を生かして見事だった。これもまた民族舞踊の盛んなウクライナらしい。
コフゥトンの演出は至ってオーソドックスで、ゴルスキーが採り入れたという道化は登場せず、音楽とダンサーが一体となって全体が展開していく。ソリストからコール・ド・バレエまでが、音楽によってつながっていることが良く感じられる舞台だった。
フィリピエワは湖畔のシーンのアダジオでは、柔らかいフレキシブルなラインを描いて踊った。プリセツカヤ直伝の柳が風にそよぐようなアームスも特徴的で美しかった。特に、第2幕のオディールは生き生きとした踊りで、グラン・フェッテもスピード感を感じさせて完璧だった。ロットバルトのサポートも必要ないのではないか、とさえ思わせた。
ジークフリート王子を踊ったニェダクもがっしりと逞しさをみせ終始、安定感があった。ヴェネツィアの踊りのコスチャンチン・ポジャルニツキーもしっかりと踊って舞台を引き締めた。
舞台展開の様々な点にウクライナらしさが光ったが、古代の模様が惹起するような独特の魔術的なエネルギーも感じさせてくれるのかな、と期待したが叶わなかった。しかし、ウクライナの文化と古典バレエの世界を融合させた舞台を創ろうとする意欲は感じられた公演だった。
(2014年1月11日 Bunkamura オーチャードホール)

tokyo1402b_02.jpg写真:瀬戸秀美 写真提供:KORANSHA tokyo1402b_06.jpg写真:山本成夫 写真提供:KORANSHA 
tokyo1402b_05.jpg写真:山本成夫 写真提供:KORANSHA  tokyo1402b_07.jpg写真:山本成夫 写真提供:KORANSHA 
tokyo1402b_03.jpg写真:瀬戸秀美 写真提供:KORANSHA tokyo1402b_04.jpg写真:瀬戸秀美 写真提供:KORANSHA