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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2013.07.10]

キャリアの異なる堀内元・充兄弟による楽しく躍動的な珠玉の作品集が上演された

堀内充バレエプロジェクト
『Little Diamonds』『Wake Up』堀内元:振付、『Vogue』『Paraphrase』堀内充:振付

ユニーク・バレエ・シアターを主宰していた堀内完のもとに双子の兄弟として生まれた堀内元と堀内充が一緒になって「GEN HORIUCHI/JYU HORIUCHI BALLET COLLECTION」という公演を行った。堀内元は、かつてバランシンに「小型だがソニーのように高性能」と称えられ、日本人として初めてニュ−ヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパル・ダンサーとして活躍。その後はセントルイス・バレエ団の芸術監督兼プリンシパルとしてカンパニー及びバレエ・スクールの運営に携わっている。堀内充はローザンヌのスカラシップを得て、アメリカに留学してスクール・オブ・アメリカン・バレエで学び、帰国後はFootlight Dancersや堀内充バレエプロジェクトを主宰。多くの振付作品も発表している。また、大阪芸術大学、玉川大学芸術楽部などで教鞭をとっている。二人はダンサーとしては同じ舞台に立ったことはあるが,お互いの作品を競演するのは初めてだという。

tokyo1307d-031.jpg photo/YUKIKO KIMOTO

最初の演目は堀内元の振付による『Little Daiamonds(リトル・ダイヤモンド)』。バランシンの『ジュエルズ』にもインスピレーションを与えられた、という。バッハの曲に振付けたもので、2004年にセントルイスのバレエ学校の生徒に振付けた。ダイヤモンドの6角形をイメージしたフォーメーションを構成し、まばゆい白いチュチュの女性6人とやはり白い衣裳の男性2人が踊った。バランシンに薫陶を受けた舞踊家らしい清楚で美しい動きによる振付だった。
2『Vogue (ヴォーグ)』は堀内充の振付の日本初演作品でやはりバッハの「ヴァイオリン・コンチェルト」を使用している。14人のダンサーを二手に分けて、3人プラス4人、3人対3人だったり、4対4、2プラス2対2プラス2、あるいは2プラス3対2プラス3など様々に組み合わせで、華麗なフォーメーションを構成した。ヴォーグとは流行を表わし、女性の溌剌とした生きる姿をモティーフとしたダンスである。ダンサーたちはシルエットで登場し、明るい光りの中で踊ったり、月光ような陰影に富んだ光りに美しいフォルムを見せたり、ヴァラエティ豊かな動きと光りとフォルムの変幻を楽しむことができた。
3『Paraphrase (パラフレーズ)』は、リストの『リゴレット・パラフレーズ』(オペラのアリアや主題を抜き出し、独自の技法とアレンジを加えたもの。ここではヴェルディのオペラ『リゴレット』に基づいてリストが作った<パラフレーズ>)を、堀内充が舞踊化した日本初演作品だ。堀内充と行友裕子が男性と女性の機微を踊ったが、堀内充の俊敏な動きは健在で、一陣の風のように爽やかな動きで観客を魅了した。
4『Wake Up(ウェイク アップ)』は、堀内元の友人の音楽家、ジョー・モッラの曲を使って振付けている。2002年初演だがしばしば再演されている。
全体にたいへんリズミカルでダンサーもじつに楽しそうに踊っていた。背景に流れるヴォーカルもいかにもアメリカンで、どこかにウェスタン調の響きが流れているのだろうか、懐かしさが感じられた。ダンサーはカラフルな衣装を着け、軽快な動きでウキウキしてくるようなダンスだった。3組のデュオと6人のコール・ドが様々の組み合わせで踊り、照明の変化とリズムの変化の対応がとても効果的だった。それぞれのシーケンスを短めに展開し、テンポ良くまとめていた。
キャリアは異なる二人だが、作品は明るく爽やかで躍動的。ダンスの楽しさを満喫できる舞台が構成されていた。また、試みてもらいたい企画である。
(2013年5月31日 めぐろパーシモン 大ホール)

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