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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2013.06.10]

吉田都とジョゼフ・ケリーのグラン・パ・ド・ドゥが夢みる時間を輝かせた

スターダンサーズ・バレエ団
『シンデレラ』鈴木稔:演出・振付

バレエ『シンデレラ』は、心の純粋な少女に奇跡が訪れるという物語が多くの人々に愛されている。同時にバレエの題材としても相応しいし、セルゲイ・プロコフィエフの音楽もまた、多くの人々に愛されている。というわけで、じつに多くの振付家が『シンデレラ』の振付を手掛けている。世界はもちろん、日本の振付家でもある程度のキャリアのある振付家であれば、『シンデレラ』を振付けたことのない人を探すのが困難なくらいだ。

tokyo1306cinderella01.jpg (c)A.I Co.,Ltd.  内藤勉

スターダンサーズ・バレエ団の『シンデレラ』もまたたいへん人気がある。2008年3月に初演されて以来、毎年のように再演され、このカンパニーの人気レパートリーとなっている。一昨年には公演準備中に震災に起きて開催が危ぶまれたが、無事、バレエカンパニー本来の仕事を成し遂げた。その公演では英国ロイヤル・バレエのファーストソリスト、ヴァレリー・ヒリストフと踊った吉田都は、それ以来の出演となる。
今回のパートナー、王子役はバーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、ジョゼフ・ケリー。ディヴィッド・ビントレーも「成熟したテクニックと天性のパートナリング・スキル」を持っている、と押すダンサーである。
この鈴木稔版の『シンデレラ』は何回か紹介している。振付・演出はホームドラマ風に上手くまとめている。特に第2幕はロマンティックなシンデレラと王子の出会いと、対照的な義母や背の高い義姉と低い義姉のハチャメチャぶりを織り込み、さらにネズミの精のカップルの活躍を加えて、夢の時間の流れを感じさせつつ、軽快なテンポで描き小気味良い。今回はアンサンブルとしてはさほどでもなかったが、吉田都のシンデレラとジョセフ・ケリーの王子のグラン・パ・ド・ドゥが美しかった。吉田都の繊細なステップと身体表現、ジョセフ・ケリーの力強いジャンプがコントラストを描いて、まさに夢見るようなひとときだった。
義母がシンデレラのお父さんに惚れていて女性的かつ人間的であって、意地悪の苛酷さが少々物足りない気もした。しかし、もちろん意地悪以外にも見せ場が多い。ラストシーンの父と義母のドラマも上手く物語全体に馴染んでいる。ファミリー向けのバレエとしてとても良くできている、と思った。
(2013年5月2日 テアトロ・ジーリオ・ショウワ)

tokyo1306cinderella03s.jpg  (c)A.I Co.,Ltd.  内藤勉 tokyo1306cinderella04s.jpg  (c)A.I Co.,Ltd.  塩谷武