ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2011.09.12]

女子真っ盛りのプロジェクト大山を堪能した『キャッチ・マイ・ビーム』

古家優里 構成・演出・振付『キャッチ・マイ・ビーム』
プロジェクト大山
tokyo1109f01.jpg 撮影/HARU

昨年、主宰の古家優里がトヨタコレオグラフィアワードの「次代を担う振付家賞」を受賞した、話題の女性ダンスユニット、プロジェクト大山の最近作『キャッチ・マイ・ビーム』を観た。最近はコンテンポラリー・ダンスから新しい星が現れた、という話を聞かないので大いに関心を持っていたグループだ。

舞台中央に真っ赤な横断幕を広げてダンサーの上半身を隠し、真っ赤なソックスを着けた20本の脚だけが露に見える。その横断幕の中央が小さくくりぬかれて、顔が一個だけのぞいてビームを送っている・・・というオープニングだった。
女性ダンサーたちは、イスラムの女性のように頭から顎までをすっぽり覆って顔だけ出し、短いパンツに原色のコスチュームを着けて踊る。一見、珍妙だが、踊るとなかなか可愛らしく活き活きとしてユーモラスだった(衣裳は坂本千代)。そしてもちろん、セクシー・ビームは舞台上から間断なく放射されていた。
素の舞台で音楽と照明だけで踊るのだが、このユニークなデザインで原色をあしらった衣裳とユーモラスでたわいない日常的な動きを繰り返すムーヴメントが、微妙なバランスを保っていて、観ているとちょっとあま〜い気持ちが湧いてくるから不思議だ。これが世に言う「女子真っ盛りの大山風味」なのだろうか。

tokyo1109f04.jpg 撮影/HARU

身体に対してまた女子であることに素直にパフォーマンスを創っている。無用な挟雑物に囚われることなく、「踊れることに感謝して」踊っている姿勢が共感を呼んでいるのだろう。実際、客席は満員で舞台上へも盛んにビームが送られていた。
動きは日常的な無意識の仕草を採り入れてアレンジしたものが中心で、そうしたやりとりのシーンを組んだり、群舞の動きを構成したりして変化をつけている。
最初の赤いコスチュームの時は、シンプルな直感的反応を展開していたが、赤から解放されて次第に複雑になり、入り組んだ繰り返しに変容し、社会性を持ったシーンを展開していた。
音楽構成も自由自在に楽しんでいるかのようだが、銃撃音をバックに踊り、次々と風船を破裂させるシーンなどは迫力もあって才気を感じさせた。今は若さとフレッシュな身体がすべてを解決しているといった感も無きにしもあらずで、フィジカルにみせるという点ではさらなる努力が必要かも知れないとも思った。
(2011年8月5日 シアタートラム)

tokyo1109f02.jpg 撮影/HARU tokyo1109f03.jpg 撮影/HARU tokyo1109f05.jpg 撮影/HARU