ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.04.12]

見えないものにコンタクトして展開する木佐貫邦子『---- 空、蒼すぎて----』

木佐貫邦子 作・演出・振付『----空、蒼すぎて----』
木佐貫邦子+néo ダンス公演
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木佐貫邦子は1980年代には盛んにソロ公演を行い、独自のダンススタイルを身に着けた。以後、日本のコンテンポラリー・ダンスの最前線にたって活動を続けてきたが、90年代以降はnéoというダンスユニットを結成し、公演を通してのダンスの教育にも力を注いでいる。
その木佐貫邦子+néo ダンス公演の最新作のタイトルは『空、蒼すぎて』。木佐貫邦子の作・演出・振付、néoの振付で、木佐貫邦子、創立メンバーの一人の上村なおか他5人のダンサーが踊った。

何もない素の舞台に、微かな音響とともにまずは木佐貫のソロ。しばらくはリズムだけを刻む音響に合わせて次々と思い思いの衣裳のダンサーたちが登場する。
ソロだったり、上村なおか対5人だったり、二人組だったり様々に自由なのびのびした動きが繰り広げられる。動きは比較的緩やかだが、それぞれにニュアンスがあり、女性的な滑らかな柔らかさがある。ごく日常的な仕草を動きとしてもしばしば採り入れて、人間的でフレンドリーな感覚も感じられるダンスである。
ダンサーたちはそれぞれ自分の内面を表して踊っているのだが、何気ないきっかけ、たとえば空を見上げるといった所作に出会った時などに一緒に踊っているダンサーから軽く、言葉によるコミュニケーションほどではなく、影響を受ける。むろん無視される場合もあり、そこからひとつの関係が生じているといったほうがいいかもしれない。キーとなる動きを自分の中でどのように受け止めるのか。
ダンサー同士がコンタクトする振りはほとんど皆無だった。コンタクトしないことによって生まれるインプロヴィゼーション、あるいは見えないものにコンタクトして展開していくダンスとも感じられた舞台だった。
木佐貫のソロはいつ観ても自由でおおらか。巧まずしてダンスに集中している雰囲気が魅力的だった。
(2010年3月11日 吉祥寺シアター)

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