ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.12.10]

幻想と現実を彷徨する佐東利穂子の身体

『SHEー彼女』
dance 佐東利穂子、direction 勅使川原三郎
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1996年から勅使川原三郎が振付けたすべてのグループ作品に出演している佐東利穂子。今日では、佐東は勅使川原作品には欠くことのできないダンサーとなっている、と言えるだろう。彼女のソロダンス『SHEーー彼女』が、勅使川原三郎のディレクションにより上演された。

浜辺を歩く佐東利穂子の映像にドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』が流れて、舞台は始まった。
佐東が舞台に現れ、闇の中に鋭い光が幾何学模様が映されている内的なイメージの世界をさまよう。激しい音響が鳴り渡り、イメージにコントロールされた佐東の身体。すると突然、イメージが崩壊し幻想が晴れる。佐東の身体は剥き出しとなり、現実が襲いかかってくる。強烈な刺激が佐東の神経に作用し、逃げ惑う佐東の小さな身体。
イメージの中の身体と現実の中に剥き出された身体が、佐東の生命が息づいている、と感じられた。
佐東自身の動きと勅使川原の振りを踊る動きがミックスされているかのようなダンスである。ラストのステップを多用したスピーディなダンスが、佐東自身の動きとなって成長いくのかもしれない、と思った。

佐東利穂子が勅使川原三郎+KARASのワークショップに初めて参加してから13年の時が経ったという。近年の勅使川原公演では、ダンサー、佐東利穂子のプレザンスはますます大きくなってきているのは、万人が認めるところだろう。しかし、勅使川原と同じステージに立って踊る場合とはまた違った体験を、佐東はこの作品で味わったに違いない。それが舞踊家、佐東利穂子のいっそうの発展となっていくに違いない。
(2009年11月23日 川崎市アートセンター アルテリオ小劇場)

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Photo:(C)A・I 撮影:坂口亜耶
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