ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.09.10]

東野祥子&カジワラトシオのアメージングな『[リゾーム的]なM』

東野祥子・カジワラトシオ『[リゾーム的]なM』
BABY-Q

『[リゾーム的]なM』は、BABY-Qを主宰し、自作のソロ公演が多かった東野祥子が彼女の公演の音楽を担当してきたカジワラトシオと共同で構成・演出・美術を作った舞台。振付は東野祥子、音楽はカジワラトシオでライヴ演奏はJON(犬)が担当している。
リゾームとは「地下茎」と訳されることもあるイメージで、Mは、mother, monster, machineの組み合わせを喚起させるものだそうだ。

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冒頭は、5人の妊婦がごろごろ転がり出して登場する壮観なシーン。背後では男性ダンサーが衝動に駆られたように跳び回り、その前面では巨乳の二人の女性がピクニックを楽しむ、といった奇妙なコラージュが続く。
下手の上に設置されている監督室のようなスペースでは、男が一人石版を擦るような作業音を絶え間なく発している。その下には階段や地下からの入り口がある。舞台の背後には、凹型のスペースがあり大きな犬のぬいぐるみを着たモンスターがしきりに紙テープを境界に貼り巡らせている。
また、上手の上には楽屋が設えてあり、けばけばしいドレスが吊るされ、化粧台が置かれている。その艶かしい部屋に3人の男性ダンサーが浸入し、入念に化粧を始める。
そして、真紅のドレスを纏った色気たっぷり男性ダンサー(目黒大路)がゆったりと舞台に現れ、観客にアピールするポーズをとって顎に手を添えると、髭を剃り忘れていたことに気付き、ハンドバッグに手を突っ込んでシェーバーを必死で探すと、そのバッグをかき回す音が増幅されて流れる。そう、掴んだのはマイクだった。真紅のドレスの目黒は、マイクを手にして客席に下りて観客に問いかける「female or male ?」。
目黒は艶っぽくて間合いが巧みだった。
3人の女装のダンサーのダンスと入り乱れるように、地下から現れた額に小さなライトを付けた地味な制服の女性グループの激しい踊りが始まる。この異質なダンサーのコラージュは衝撃的で、ここがクライマックスとばかり、下手の上の監督室からA4判くらいの大きな紙吹雪が一挙に撒かれ、異様な美しさが舞台を包んだ。
激越なノイズミュージックのって踊られる、東野ダンスならではの独特の一体感と、まさにリゾーム状に次々と現れるアメージングな、サブカルチャー的な強烈さを持ったイメージに圧倒された。
9月にはドイツ・ツァーに行くそうだが、どのような印象を与えるのだろうか、今からその反響が楽しみである。
(2009年8月8日 吉祥寺シアター)

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