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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2009.06.10]

ポルトガルのカムスナ・バレエ初来日、環境破壊をテーマにした作品を上演

Kamusuna Ballet Company
Cesar Augusto Moniz: “Love the Earth”
カムスナ・バレエ・カンパニー
セザル・アウグスト・モニス演出・振付『Love the Earth』
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ポルトガルを代表するコンテンポラリー・ダンスの舞踊団、カムスナ・バレエ・カンパニーが、芸術監督セザル・アウグスト・モニスと共に初来日し、環境破壊による地球の危機に警鐘を鳴らす『Love the Earth』を上演した。昨年の「国際惑星地球年」にあたり、UNESCOの依頼で創作した作品で、この秋、ヨーロッパやアフリカでも上演するという。
モニスは1963年生まれ。母国のグルベンキアン・バレエ学校やフランスのロゼラ・ハイタワー・ダンススクールで学んだ後、グルベンキアン・バレエ団でプリンシパルとして活躍。ルイ・ホルタ、イリ・キリアン、アマンダ・ミラー、ウィリアム・フォーサイスらの作品に出演した。スペイン国立ダンスカンパニーに招かれ、芸術監督ナチョ・ドゥアトの下で踊りながら振付も行い、独立して自身のカンパニーを創設した。
「カムスナ(神主成)」と命名したのは、神道や仏教に惹かれるからで、そこから創意を刺激されるともいう。モニスは、東京・神楽坂のセッションハウスの2009年度のレジデンス・アーティストでもあり、それが今回の公演につながったのだろう。その経歴から推測されるように、彼の創作にポルトガルの民族色は薄く、ドゥアトの影響が濃厚に感じられた。

『Love the Earth』では、6人のポルトガル人ダンサーと日本から参加した若手2人による、激しくもパワフルなダンスが、会場狭しとばかりに展開された。木の幹や枝ぶりを流動的に映し出す映像をバックに、「地球は私、私は地球」などという英語と日本語による語りを交えてダンスが始まった。
全体は二部構成で、群舞やデュオ、ソロなど、フォメーションは変わるが、一貫した流れは見えてこない。バレエの技法を元としながら、相反するような身体の動きや重心の移動を盛り込み、一つのスタイルにとどまらない。一見ばらばらに映るアンサンブル、内なるエネルギーをスローな動きに転換したようなデュオなど、趣は様々。日本人も含めてダンサーたちは皆よく鍛え上げられており、実に強靭だった。
チェロやバイオリンが奏でる旋律とパーカッションの打音が対比を成し、また、堂々とした体躯のカウンターテナーがダンサーの脇でヘンデルなどの歌を独唱すると、異次元の世界が立ち現れた。投影されたビデオは、木の根や雲、峰、波、岩などの自然だったり、「Recycle」「Repair」「Re-used」といったエコな言葉だったり、機械や車や人々の加工された映像だったりと様々だったが、ダンスとの関連は希薄に思えた。だが、会場がもっと広く、巨大スクリーンが設置されていたなら、その前で踊る小さな人間の姿に別の意味を感じたかも知れない。第2部の冒頭で、母なる地球に、「Give me hope. Give me life」と呼びかけたが、それは豊かに命をはぐくむことができる地球であり続けて欲しいという願いを、改めて思い起こさせもした。
(2009年5月16日、セッションハウス)

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