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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.06.10]

ザハーロワ、新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』

牧阿佐美 改訂振付・演出『白鳥の湖』
新国立劇場バレエ団

新国立劇場の『白鳥の湖』は、1998年にマリインスキー劇場のレパートリーであるコンスタンチン・セルゲーエフ版をナタリア・ドゥジンスカヤの監修により上演。その後レパートリーとして約40回上演したが、2006年に芸術監督を務める牧阿佐美が改訂振付・演出を行い、新しいヴァージョンを創った。初演時は、ボリショイ・バレエのボリス・アキーモフが芸術アドヴァイザーとゲスト・バレエマスターだった。
 

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今回は2008年6月に続く2回目の再演である。
オデット/オディールは、このヴァージョンには欠かすことのできないスヴェトラーナ・ザハーロワ。ただ、10日ほど前に「ザハーロワのすべて」公演を観たためだろうか、前2回ほどの感動は得られなかった。踊りのラインは完璧だが、生真面目な性格が現れているためか、登場人物の心がやや型にはまった表現に見える。もう少し表現の余裕というか、遊びの心というか演技に幅がほしい、とも思った。開幕からカーテンコールのレベランスに至るまでじつに律儀で、有り余る才能を持て余しているのではないか、とすら感じられた。
ジークフリートは初演は、デニス・マトヴィエンコだったが、前回の再演からアンドレイ・ウヴァーロフが踊っている。ザハーロワとのパートナーシップは申し分なかった。

牧阿佐美版の特徴のひとつである第3幕のディヴェルティスマン、ルースカヤは湯川麻美子が心を込めて踊り、素敵だった。ただ、せっかくのルースカヤの衣裳がピンクだったのはどうだろうか。全体のバランスから考えられた色彩だろうが、やはり、ロシアの伝統的な鮮やかな赤がほしかったような気がする。ピーター・カザレットの装置は、白鳥の造型をそここに配して格調のある幻想的雰囲気を醸していたが、色彩感の艶やかさはもうひとつだった気がする。