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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2009.04.10]

若手の台頭を印象づけた東京バレエ団の『白鳥の湖』

ゴールスキー版によるI・スミルノフの再振付『白鳥の湖』
東京バレエ団
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東京バレエ団の創立45周年記念公演の一環。今回は躍進目覚ましい若手に脚光を浴びせようと、スターの上野水香と高岸直樹が主演する公演のほか、オデットとオディールに初めて臨む高木綾と田中結子を起用し、ベテランの木村和夫のジークフリート王子と組ませた日、さらに、渡辺理恵のオデット、川島麻実子のオディール、柄本武尊のジークフリートという若手特別公演を行った。このうち、高木と田中、木村が出演した日を観た。

 高木は清楚なオデットのイメージ。王子と出会い、その真摯な心に傾きながら、王子の手をすり抜けるような素振りも見せ、白鳥に戻る時、王子に救いを求めても全面的に頼るといった風でなかったのは、彼女なりの解釈だろう。第4幕では、許しを乞う王子を包むような心が感じられた。田中は気品あるオディール像を造形した。自身の魅力で王子の心の動きを見極めながら、その心をとらえていくといった演技が光っていた。グラン・パ・ド・ドゥでは、勢いの良いジャンプを見せ、ダブルを入れたフェッテも安定しており、全体にスケールの大きさを感じさせた。

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 木村のきめ細かな演技も素晴らしかった。第2幕でのオデットとのやりとりで、驚きやためらいから心を決めるまで、木村は身振りで的確に表した。第3幕でのオディールとも同様で、彼女に対する疑いや迷いを振り切って愛を誓うまでの心の揺れや、だまされたと知った時の衝撃が、手に取るように伝わってきた。グラン・パ・ド・ドゥでは、最初、力みすぎていたようだが、調子を上げて鮮やかな跳躍や回転技をみせた。サポートも好ましかった。若手ではほかに、小笠原亮が、道化役にふさわしい快活な演技でドラマを引き締めた。ピルエットなどもよくこなしていたが、さらに磨きがかかればと思う。パ・ド・トロワやチャルダッシュの第1ソリストでの松下裕次も、切れの良い踊りをみせた。総じて、若手が着実に育っていることが見て取れる公演だった。
(2009年3月15日、ゆうぽうとホール)