ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.04.10]

イヴァン・プトロフ、伊藤友季子が踊った アシュトン版『リーズの結婚』

フレデリック・アシュトン振付『リーズの結婚~ラ・フィーユ・マル・ガルデ~』
牧阿佐美バレヱ団
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 牧阿佐美バレヱ団のアシュトン版『リーズの結婚~ラ・フィーユ・マル・ガルデ~』で、冒頭に踊られる若いおんどりとめんどりたちの踊りは、かつて小嶋直也が見事に踊ってみせたことを記憶している。今回は中島哲也が3公演とも踊ったが、また違った味わいを感じさせた。
 コーラスは英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、イヴァン・プトロフ。リーズは今回が2回目となる伊藤友季子のペアだった。プトロフはウクライナ出身のダンサーらしく、ダンスも演技もきちんとしていて安定感があり、リーズはもちろん共演のダンサーたちとも、初めてのゲスト出演とは思えないほどうまく調和していた。
 伊藤友季子のリーズは、ダンスは素敵だし可愛らしく楽しかった。コーラスとも均整のとれたよいカップルだったと思う。ただ、ダンス以外のマイムというか身体表現としては、もう少し大胆に表現してもらいたいとも思った。上原大也のアランもよかったが、やはりさらに大袈裟でもいいのではないか、と思ったりした。
 保坂アントン慶のシモーヌはもう当たり役として定着している。豪華ソリスト陣が踊った木靴の踊りも見応えがあった。

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 そのほかのフルートボーイやトーマスなどの脇役にも見せ場の多い作品だが、それはアシュトンの振付が、英国のミュージックホールなどのショーのシーンをこのバレエにとり入れているからだろう。また、木靴の踊りやリボンの踊り、冒頭の若いおんどりとめんどりたちの踊りにもそれぞれ由来がある。プログラムには、アシュトンがそうした素材を巧みに使って、音楽を作ったジョン・ランチベリーとともに創作していった過程が、かなり詳しく記されていてたいへん興味深かった。
 もともと、ロシアでは『無益な用心』というタイトルで親しまれてきたこの古いバレエを新たに振付けるよう、アシュトンに勧めたのはタマラ・カルサーヴィナ。そしてそれは、アシュトンの手を経て、たいへん英国的なバレエとして完成され、今日まで多くの国で愛されているのである。
(2009年3月7日夜 ゆうぽうとホール)