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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.01.13]

音楽座ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』

 1991年に初演されて好評だったが、音楽座が一時解散の憂き目に会い、しばらく上演されていなかった『マドモアゼル・モーツァルト』が、12年ぶりに再演された。
原作は福山庸治のコミック、音楽はモーツァルトとともに小室哲哉、高田浩、振付は謝珠栄、美術は朝倉摂が担当している。

 18世紀末のヨーロッパ、ザルツブルクの平凡な宮廷楽士、レオポルドは娘エリーザの驚異的な音楽の才能に気づく。しかしこの時代は女性は作曲家になれない。そしてレオポルドは、エリーザを男として育てることを決心する・・・。というかなり大胆にして興味深い発端である。
もちろん、モーツァルトの名曲はふんだんに使われているが、モーツァルトの代表的オペラ『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コシ・ファン・トゥッ
テ』『魔笛』の有名な劇中人物たち14人が精霊となって登場。バレエのような衣裳を纏った精霊たちは、物語の要所でドラマの情感的な部分を軽やかに表現する、という仕掛けもあってうまく時代の雰囲気を創っている。
女性であることを隠して作曲を続けるモーツァルトは、なんと、下宿の娘コンスタンツェと結婚する羽目に陥る。そして初夜を一日延ばしにして取り繕うが、所詮は無理。告白を聞いた”妻”はびっくり仰天、家を飛び出してしまう・・・、と物語は展開していく。
モーツァルトの驚異的才能に嫉妬するサリエリも、もちろん、様々に活躍する。
わずか36年間しか生きなかった大天才の音楽が舞台にあふれ、音楽の神に導かれた人生を、明るく楽しく縦横にアイディアを駆使して創った素晴らしい音楽劇である。
(2008年12月19日 東京芸術劇場 中ホール)