ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.01.13]

『アパートメントハウス1776』アルディッティ弦楽四重奏団 × 白井剛

 20世紀初期の音楽の卓抜した演奏で知られる、アルディッティ弦楽四重奏団の演奏と、白井剛のダンスのコラボレーション公演が行われた。
まずは、ジェームス・クラーク『弦楽四重奏曲』、ブライアン・ファーニホウ『ドゥム・トランシセットVI 』、西村朗「弦楽四重奏曲 第4番『ヌルシンハ(人獅子)』」などがアルディッティ弦楽四重奏団によって演奏された。
そして、ジョン・ケージが作曲した『アパートメントハウス1776』をアーヴィン・アルディッティ(弦楽四重奏団の創設者)が編曲した『44のハーモニー(ダンス・ヴァージョン)』が演奏され、白井の登場となる。

 曲は、中世風ののどかなたゆたうような宗教的ハーモニーを短めに一定の間隔をおいて演奏するもの。機械的に間隔を空けることで、ハーモニーの連なりを演奏する時とは、また異なった不思議な美しさを感じられた。
白井のダンスは、メタリックなヘリウム入りの風船、紙ヒコーキ、椅子、歪んだ映像などと、彼のいっこうに安定しない動きを組み合わせたもの。時折、演奏者に触れたり、譜面台の下に潜り込んだり、ユーモラスな動きを見せる。
一度退場した演奏者たちも、白井のおおらかでやんちゃな動きに触発されたように、一人ずつ手にキラキラ光る風船を持って再登場して、観客の笑いを誘った。
白井は、オジさんたちの演奏会に迷い込んだ子供が、ケージの音楽に反応して戯れているような、また美しい演奏に釣られてパックのような妖精が姿を現したとも見えるダンスだった。
(2008年11月28日 津田ホール)