ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.12.10]

バレエ協会主催バレエ・フェスティバルのキミホ、岩上、松崎の三作品

 第47回目を迎えたバレエ協会主催のバレエ・フェスティバルでは、キミホ・ハルバート振付の『MIDSUMMER NIGHT'S DREAM』、岩上純振付の『SONG of THE EARTH』、松崎すみ子振付の『旅芸人』が上演された。
キミホ・ハルバートの『MIDSUMMER NIGHT'S DREAM』は、劇団昴の三輪えり花の台本に基づき、昨年岸辺バレエスタジオで初演したもの。音楽はメンデルスゾーンの同名の曲を使って振付けられた。
構成としては、村人たちの村芝居の部分は省かれ、妖精が変身させられたボトムのみの登場である。その分、妖精たちと人間の恋人たちの描き分けがシンプル になり、動きによって上手く描き分けられ、音楽ともよく合っていた。また、妖精同士のオーベロンとパックのパ・ド・ドゥも、ボディ・ワークを挿入し巧みに 表現されていた。キミホ自身パックを踊り熱演だったが、ローラーペダルまで持ち込んでいるのだから、もっと芝居をしてもいいのではないか、とも思った。
西田佑子のタイターニアと大貫勇輔のオーベロンが好演だった。

  岩上純の『SONG of THE EARTH』は、LUNA, APOLLO, HUMAN, GROUNND, PLAIN, AQUA, AIRなどを登場させて、存在から崩壊、共存などの7つの断章によって、地球と人間の関係を描いたもの。まずは、三つのスポットに浮かび上がる3組のペア が始源のダンスを踊り、拡大していく活力、光が奏でる優美、変化のスピードを感じさせる進化、一転して崩壊、力強く立ち上がる再建、そして共存を模索する 試みが、次々と速いテンポで踊られた。
樋口みのりのLUNAと梶原将仁のAPOLLOが期待に応えるダンスをみせた。

『旅芸人』は、1990年に初演したものを2000年に再演し、今回の上演でさらに練り直し、座長の心理を中心に描く作品とした。
一座のスターでもあるサーカスの座長が足を傷め、若い団員に役を与えて美しい妻と組ませる。主役の座を失い、妻と若い団員との関係を疑う座長は、妄想と 煩悶に悩み抜くが、自身の心理に決着をつけると妻もまた、戻ってくる、というストーリー。大きなテントの下で、サーカスの技をモティーフにしたダンスを繰 り広げながら物語を展開していく手法は手際よく進行した。物語の解決としては、もうひとつ腑に落ちないところもあるが、座長の小泉孝司が熱演し、下村由理 恵や佐々木大、長田佳世、能美健志など実力のあるダンサーたちがそれぞれの役どころを上手く踊っていた。
(2008年11月14日 メルパルクホール)