ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.12.10]

「古楽とストラヴィンスキー」木佐貫邦子と平山素子のダンス

  新国立劇場のダンステアトロンNo.16は「古楽とストラヴィンスキー」と題して、木佐貫邦子と平山素子のダンスが上演された。
木佐貫邦子の振付作品は『Caravan(キャラバン)』。おおらかな時間を超越したような歌声が響き渡る音楽は、MEXIとしてバンド活動も行ってい るスカンクが構成、作曲した。木佐貫自身と近藤良平、福留麻里、入手杏奈が踊り、家族のような構成にみえるが、血のつながりのない4人のキャラバン。舞台 の奥には、奇妙な裸木が一本立っているだけの舞台で踊られる。
4人は同じ風を受け、同じ光を浴びてキャラバンを続け、父親的存在の近藤、母の立場の木佐貫などのソロがあり、次第にそれぞれの役割が明らかになっていく。大地を仲間と旅していくことは、それぞれが自身の身体そのものを旅することでもあった。
揉むとか漕ぐといった日常的な動作を織り込んだ、身体が自然とともに奏でるダンスが心地よく感じられた。

 平山素子は、『Life Casting--型取られる生命--』でも共演した柳本雅寛と『春の祭典』を踊った。
フロアーには大理石の切断面のような模様の敷物が敷かれ、奥の一段高くなったところには2台のピアノ(演奏は土田英介、篠田昌伸)。ストラヴィンスキーの曲は、断続的に男と女のプリミティヴなデュオと交歓しつつ演奏される。
二脚のピアノ椅子を使ってフロアーに身体が着かない踊り、椅子から解放されたのびのびとして踊りが繰り広げられ、フロアーの面が地形の立体モデルの山脈 のように褶曲して、奥の一点に吸引されていく。平山がフロアーもろとも吸い込まれ、柳本もまた犠牲となって舞台から消えた。
現代的な美しいヴィジュアルとシャープでスピード感のあるダンスが描いた、生命の決定的な瞬間、が感じられた舞台だった。
(2008年11月16日 新国立劇場 中劇場)