ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.10.10]

加藤みや子ダンススペース40周年記念公演から

尖鋭なイメージのコンテンポラリー・ダンスを創ることで知られる加藤みや子が、自ら主宰するダンススペースの40周年記念公演を行った。加藤は、森嘉子 のもとで踊り、藤井公・利子に師事し、70年代初め頃からダンスリサイタルを重ねて注目を集めた。多くの著名な舞踊家やミュージシャン、美術家ともコラボ レーションを行ってきた。
40周年記念公演は、「キッズワールド」からレパートリー作品に至る5部構成だったが、残念ながら止むに止まれぬ事情で、第5部しか観ることができなかった。

第5部では、加藤が<舞踊の母>と慕う、森嘉子の特別出演の舞台から始まった。『死するまで紅にもえて』というソロ作品である。
長い大きなショールで全身を巻いて登場、踊りながらショールを外すと、深紅のロングドレスを纏っていた。指先にまで力の漲った踊りで、わずか数分のうちに、生と死の人生のドラマを一編の詩を綴るように描いた手並みは鮮やかだった。

レパートリー作品は3作品が上演されたが、どれも演出・振付は加藤である。
『波の上を駆ける女』は1980年に初演されたもの。加藤を中心とした7人の女性ダンサーが白いドレスで踊る。波という自然のリズムが巧みに描かれ、それ と人間の生命のリズムが同調し、美しいフォルムの中に調和するイメージを描いている。シンプルな構成だが、遠い昔に失われてしまった地球の懐かしい風景を 感じさせる舞台だった。

『離森』は、妖精たちによる不定形のフォルムを自在に変幻させながら、森というものがもつリズムを求めていくダンス。下駄タップも踊る森の妖精たちが、自然の生命感を活き活きと踊った。

『麗夢睡眠』(レムスイミン)は、三作の中では最も新しい2005年に初演された作品。主人公は見ているだけなのか、夢に参加しているのかわからないまど ろっこしいようなシュールな感覚が、豪華なイメージによって描かれている。ラストの白いドレスの人物が幽体離脱していくような描写がおもしろかった。
加藤のダンスの独特のリズムと生命のリズムが共鳴する、素敵な舞台だった。
『波の上を駆ける女』
加藤みや子

(9月23日、調布グリーン大ホール)