ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.10.10]

小林紀子バレエ・シアターの『レ・シルフィード』ほか

 小林紀子バレエ・シアターの第85回公演では、『レ・シルフィード』(フォーキン振付、ショパン音楽)『ソリテル~ひとり遊び~』(マクミラン振付、マルコム・アーノルド音楽)『パキータ』(プティパ振付、ミンクス音楽)が上演された。

『レ・シルフィード』は、曲想とバレエの構想がしっかりしており、フォーメーションの構成やアンシェンヌマンも充分に工夫されているので、美しい舞台が創 られる。「ノクターン」「マズルカ」「ワルツ」を踊った島添亮子の神経の行き届いた繊細な動きが素晴らしかった。ゲスト出演したアメリカン・バレエ・シア ターのプリンシパル、ディヴィッド・ホールバーグも落ち着いた踊りで、特にワルツが素敵だった。
『ソ リテル』は、アーノルドの「8つのイギリスの踊り」と新たに作曲された2曲を使って、少女の空想の中にわき上がる様々の情感を表す踊りがつぎつぎと踊られ る作品。少女を主人公にしていいる同じマクミランが振付けた『The Invitation』のような深刻な表現は、この作品にはまだない。思春期にまでも到らない子供の世界である。子供の世界だが、そこには近代的自我とな る芽のようなものも感じられる。ちなみにアーノルドは、大ヒットした「クワイ河マーチ」で知られる映画『戦場に架ける橋』の音楽の作曲者である。
『パキータ』は、ゴールドが幾重にも重ねられたきらびやかな背景が、豪華絢爛の雰囲気をだしている。(美術/ピーター・ファーマー)。小林紀子バレエ・シ アターのコール・ド・バレエはたいへんよくなっている。恐らく一人一人の音楽性が高まってきたのだろう。全体の流れが滑らかになり、ステージの情景が美し くなっている。ホールバーグはケレン味のなく、無駄のないきれいな踊りを見せた。
(9月19日、ゆうぽうと簡易保険ホール)


「レ・シルフィード」

「ソリテイル」

「パキータ」