ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.09.10]

後藤早知子の "Sachiko"

 後藤早知子が初舞台から50年目を記して、”Sachiko”を上演した。Sachikoが愛したダンス、音楽そして出会った人々への愛のThanks、という言葉がタイトルに添えられている。もちろん、構成・演出・振付は後藤早知子である。
第一部「ヘレン----心の光」は、ラフマニノフの曲を使って、ヘレン・ケラーの伝記をテキストにした4章。2004年に初演した作品の改訂再演である。ヘレンを酒井はな、サリバンを尾本安代、ピーターは森田健太郎が踊った。
オープニングの視覚と聴覚のない世界から、有名なヘレンが水を認識するシーンと、水の精などのアンサンブルを使って上手く表現している。父母やサリバ ン、ピーターなどとの交流、そして感覚を失ったことによって、逆に見えてくるもの、感覚が備わっているために見えないもの、感じられないもの、が浮かび上 がってきて大いに考えさせられるダンスであった。
酒井はヘレンの孤独と愛を求める心を見事に踊った。
第二部は「Love Angel」。ガーシュインの音楽を使って、音と映像と色彩の7つ世界を巡っていくダンスである。女性ダンサーに高部尚子、男性に坂本登喜彦、大天使に西 島千博が出演し、Other Dimensionとして能美健志、西祐子とともに「私の踊りある記」を書いてくださっている友谷真実が踊っている。ガーシュインの曲のテンポを速めたり 遅らせたりしながら、華麗なダンスと演出が次々と繰り広げられる。天上の宇宙的な意識と地上的な愛が交錯し、大いなる愛の賛歌が謳われているのである。
(8月24日、青山劇場)


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