ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.02.10]

東京シティ・バレエ『カルメン』

 東京シティ・バレエが中島伸欣(台本・演出・振付)、石井清子(振付)の新作『カルメン』を上演した。現代版の『カルメン』である。

原作ではたばこ工場だが、この作品の設定では製薬会社となっており、カルメンはOL、ホセは警備員である。カルメンが会社の情報を盗んで売る。ホセは魅 力に負けてカルメンを捉えることが出来ず、逆に彼女のために濡れ衣を着て上司を殺してしまう。エスカミーリョは花形のシステムエンジニアで、コンピュータ のトラブルを鮮やかに解決する。カルメンはエスカミーリョに惹かれ、挙げ句の果てホセの手にナイフが光る、という展開である。
  音楽は、従来のビゼーの「カルメン」と他の曲、指揮者の福田一雄が作曲した曲を加えて編曲したもの。オフィスの中の携帯電話や話し声、酒場などの現実の音 も挿入される。自由を生きる女----カルメンを描いているのだが、カルメンという女性自体に迫る、というよりミステリー風のドラマに感じられた。という のも、スピーディな物語の展開を心がけたためか、マイムあるいは身体を使った粗筋の説明が多く、パによって描き出されたものが少なく感じられたからかもし れない。

カルメンを踊った志賀育恵は、アクティヴな女性の気持ちを一心に踊り、とても好感のもてる舞台だった。
(1月14日、新国立劇場中劇場)