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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.12.10]

●谷桃子バレエ団『ロメオとジュリエット』ほか

 
 
 谷桃子バレエ団の「創作バレエ・9~古典と創作~」は、〈古典〉として『ライモンダ』第三幕の婚礼の場を、〈創作〉としてクルベリ振り付けによる『ロメオとジュリエット』を上演した。後者は1980年に同団が日本初演している。ダブルキャストの2日目を観た。

『ライモンダ』では、題名役の伊藤範子はジャン・ド・ブリエンヌの今井智也と組み、派手な技はないが、ポアントやバランス取りが難しいパ・ド・ドゥをしっ かりとクリア。これにあでやかさが備わればと思った。今井は、歯切れの良い踊りをみせた。ソリストとなった男女も、まとまり良くこなし、均一な仕上がりと なった。


クルベリ版『ロメオとジュリエット』(プロコフィエフの原曲を抜粋)は、敵対する名家の抗争と、それを超えて愛し合う恋人たちの悲劇を抽出した独創的な 50分の作品。ロメオの友ベンヴォリオもジュリエットの乳母も、ロレンス神父も登場しない。装置もないがらんとした舞台だが、両家の衣装を青と赤で色分け し、場面に応じて照明もこれに対応させ、迫力ある踊りの連続で緊迫感を途切らせることがない。

キャプュレット家の人々の面前で、4人の旗手が青い旗を音を立てて振り回す冒頭から異彩を放つ。ジュリエットの永橋あゆみとロメオの齊藤拓は、舞踏会で出 会った後、抱き合い、体を絡ませ、床をころげ、走り回り、燃焼度を高めていった。その情熱的なパ・ド・ドゥの後方で、マキューシオ(桑原智昭)が、ティボ ルト(中武啓吾)とパリス(川島春生)と争いを繰り広げるという重層的な描写は出色。自死した恋人たちが腕を伸ばし手を絡ませていく幕切れが、愛の尊さと 権力抗争の虚しさを訴えているようで、印象に残る。
振付が極めて個性的で、激しい動きが要求されるだけに、ダンサーたちは皆、力演していたが、永橋の可憐な表情が印象に残った。
(11月13日、新国立劇場中劇場)