ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.05.10]

●キューバからナルシソ・メディナ・ダンスカンパニーが来日

 ユネスコ国際ダンス・カウンシル指定「世界ダンスの日」(4月29日)を記念し、ナルシソ・メディナ・ダンスカンパニーがキューバのコンテンポラリーダンスの最先端を伝えた。 メディナはキューバ国立現代舞踊団のダンサー・振付家として活躍した後、1993年、自身のカンパニーを設立、独自のアフロ・キューバン・ダンスで評価を確立した。 日本でも単独公演などを行っているが、今回は小編成ながらカンパニーとして初の来演という。

作品はすべてメディナの創作で、『カーニバル創世記』で始まった。 男女5人がにぎやかに客席通路を練り歩いて舞台に上がると、女と男が綱引きをしたり、男が女を回転するように投げて抱き止めたり、セクシャルなデュオあ り、こうもり傘を操る女のスローなソロあり、女装で要所を締めたメディナが裸になって踊りもする。 変化に富んだ断片の連なりはカーニバルさながら。抒情性や猥雑さを混在させた展開は、人間の諸相を提示するようでもあり、社会や生活を描写するようでもあ る。 躍動感一杯のキューバの伝統音楽やオリジナルの曲はダンスと一体となり、ヴァイタリティあふれるお国柄や民族性を伝えていた。

『カーニバル創世記』


『メタモルフォーシス-変身-』
 続く『メタモルフォーシス(変身)』は、1997年埼玉国際創作舞踊コンクール大賞など、幾つもの賞に輝くメディナの代表作。 見事に鍛錬された男性3人がほとんど裸で踊る、12分ほどの密度の濃い小品だった。2人の男がドラム缶から抜け出そうと上半身をもがくが、彼らの体をはめ込むように見えたのは、何と残る一人の尻。 体のそんな部分までがダンスの道具として活用されているのだ。やがて缶から出て床をころげ、飛び跳ね、叫び声を上げ、あえぐ。 人間の誕生と進化を象徴しているようだが、その厳しそうな道程を覚悟を決めたように突き進んで行く姿は鮮烈な印象を残した。 最後の『ボディー・ミュージック』は演奏が主体。ダンサーたちは威勢良くドラムを叩き、歌うが、実に達者。観客を舞台に招いて一緒に踊る一幕も。 快活なリズムが自然に身振りを生み、それがダンスになる。そんな彼らのダンスの根源を実感させる作品だった。
(4月15日、きゅりあん小ホール)