ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.03.10]

●マチュー・ガニオが東京バレエ団の『ラ・シルフィード』に客演

パ リ・オペラ座バレエ団の新しきスター、マチュー・ガニオが、東京バレエ団の『ラ・シルフィード』(ラコット版)に客演した。ドミニク・カルフーニとデニ ス・ガニオという優れたダンサーを両親に持ち、昨年5月、弱冠20歳でスジェからプルミエを飛び越してエトワールに昇格した逸材である。日本で全幕ものの 主役を踊るのは今回が初めて。3日連続公演のすべてを踊ったが、その最終日を観た。タイトルロールは斎藤友佳理だった。
ロマンティック・バレエの傑作『ラ・シルフィード』は、スコットランドの農村を舞台に、エフィーとの結婚式を控えた青年ジェームズが、空気の精ラ・シルフィードに心を奪われ、飛び回る彼女を捕えようとしてすべてを失うという幻想的な物語である。

キルト姿で登場したガニオは、すらりと伸びた美しい脚、どこか憂いを帯びたマスクが印象的だ。農夫という役ながら、立っているだけでエレガントな雰囲気を 漂わせてしまうのは、生来のダンスール・ノーブルだからだろう。第一幕では、エフィーに対して心変わりしたわけではないのに、ラ・シルフィードに好奇心を かき立てられていく様をごく自然に演じ、第二幕では、彼女を得ようとする一途さを純朴に表現していた。繊細な手指の表現や、どんな跳躍でも崩れることのな い足の甲からつま先にかけてのきれいなラインは忘れ難く、今でも目に浮かべることができる。

斎藤友佳理は、ふわっとした腕の動きや、軽やかなジャンプ、音を立てない着地で巧みに空気の精を演出。井脇幸江はエフィーの喜びや歎きを緻密な演技で伝え た。ジェームズとラ・シルフィード、エフィーが三つ巴になって踊るシーンは、緊迫感と抒情性が絶妙にクロスして、スリリングな味わいを醸した。村の若者た ちによる快活な群舞と、空気の精たちによる夢幻的な群舞のコントラストも鮮やかだった。
(2月13日、東京文化会館)