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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2005.01.10]

●東京バレエ団『くるみ割り人形』のフレッシュ・コンビ、小出&後藤

 東京バレエ団の『くるみ割り人形』は、クララを大人のバレリーナが踊るワイノーネン版。 地方公演を含めて組まれた4組みの主役ペアのうち、主役を踊るのは初めての小出領子と、くるみ割りの王子は初役という後藤晴雄のフレッシュ・コンビを観た。
幕が開くと、クララの家のクリスマス・パーティに向う人々が描かれる。ふざけたりしながら行く子供たち、脚を高く上げて歩く男性たち、パ・ドゥ・ブーレで足早に進む女性たち――いつもながら、楽しい宴会を予感させる巧みな導入だと感心させられる。

可愛らしいドレスを着た小出は、すんなり伸びた手脚や、たおやかな腕の動きで、快活に少女クララを踊った。夢の中で娘に成長すると、しっとりした情感をにじませ、くるみ割り王子への淡い恋心を踊る。 テクニックも安定していた。くるみ割り王子の後藤は、そんな小出をしっかりサポートし、自身もしなやかなジャンプやリズミカルなピルエットでアピールした。 最後のグラン・パ・ド・ドゥも、小出が緊張気味だったとはいえ、一つ一つの動きを二人とも丁寧にこなして優雅に踊り、舞台を盛り上げた。
他のダンサーでは、木村和夫の活躍が目立った。前半では人形遣いのドロッセルマイヤーとして登場し、切れ味の鋭いジャンプや回転を気持ち良く決め、颯爽としていた。 後半のふしぎの国でも、スペインの踊りで鮮やかなジャンプを見せた。

ピエロの平野玲やコロンビーヌの高村順子、アラビアの踊りの西村真夕美と長瀬直義のペア、フランスの踊りの中島周らが、それぞれ好演。群舞では、特に雪の精たちによる美しくそろったフェッテが見事だった。 総じて極めてレベルの高い、夢を誘う舞台だった。
演奏は福田一雄指揮東京シティ・フィル。オーケストラを手際良くリードし、ダンサーに寄り添い、動きをからめとるような指揮が心地よかった。
(12月17日、東京文化会館)