ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.11.10]

●谷桃子バレエ団「古典と創作」の『ロマンティック組曲』ほか

谷桃子バレエ団が「古典と創作」シリーズの公演で、『ロマンティック組曲』(ショパン/谷桃子)、『韃靼人の踊り』(ボロディン/小林恭)、『Real Fudge(リアル・ファッジ)』(坂本登喜彦)の3曲を上演した。
『ロマンティック組曲』は、谷桃子が1953年頃振付けた作品である。ショパンの曲で構成した谷版『レ・シルフィード』といった趣きのある舞台。まず、全 員が登場した後に、ひとつのペアが残り「ノクターン」にのせてデュエットを踊る。続いて「エチュード」「ワルツ」「プレリュード」などが白石光隆のピアノ 演奏によって踊られる。 
なかなか美しいフォーメーションを見せ、ダンサーたちの踊る心の純粋さが素直にが感じられる好感の持てる舞台だった。
小林恭は『韃靼人の踊り』。ボロディンのオペラ『イーゴリ公』から独立させてフォーキンが振付けたものが原振付となっている。高部尚子のフェータルマ、斉藤拓の隊長、前田新奈のチャガだったが、全員がなかなか力強い踊りを見せた。
『Real Fudge』は、坂本登喜彦が『ロミオとジュリエット』に基づいて創った舞台。上手と下手は正方形で正面は不規則な四角な穴が空いたセット。稲妻ように光 がセットの枠を走り、舞台上のふたつのマネキンが脆く崩れる。人間がマネキンのごとく立ち木でも倒れるように死んでいく遥かに遠い戦争。この緊迫した対立 関係の中の実感のない不思議な感覚を、『ロミオとジュリエット』にインスパイアを受けながら坂本登喜彦が振付けたコンテンポラリー・ダンス。Realは本 物、Fudgeはつくり話の意味だという。作品を支える実感的な部分は理解できるが、少々、説得力が弱かったのではないだろうか。(10月7日、文京シ ビックホール)
『ロマンティック組曲』
『韃靼人の踊り』
『Real Fudge』