ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.07.10]

●ルジマトフ&ロシア国立バレエ団の『シェヘラザード』ほか

芸術監督のヴァチェスラフ・ゴルデーエフが率いるロシア国立バレエ団は、今回が初来日である。バレエ団とともに来日した千野真沙美を始め、佐々木大、岩田守弘、長田佳世などお馴染みのダンサーが在籍していたため、もう何回か来日しているような錯覚に陥っていた。

第1部では、ふたつのゴルデーエフ自身の振付作品が上演された。千野真沙美とプロツェンコが踊ったのは『盲目の少女』(音楽リッチ)。光の筒のようなス ポットの中で踊られるパ・ド・ドゥである。総タイツのダンサーが光と闇のコントラストを際立たせ、命を愛おしむやさしさを描いた。『パガニーニ』(音楽ヘ ンデル)は、頭から赤いタイツを纏い黒いマントをなびかせる悪魔と男のパ・ド・ドゥ。ヴァイオリニストの栄光と俗世的なプレッシャーの葛藤を舞踊にしたも の。ゴルデーエフの振付はテーマをはっきりと打ち出し、無駄な動きがまったくない。バレエの精髄を知悉した舞踊家の作品というべきだろう。

 ほかに、プティパ&プーニの『ヴェニスのカーニバル』、『オンディーヌ』、ラブロフスキー/ゴルデーエフ&グノーの『ワルプルギスの夜』などのこのカンパニーらしい演し物が踊られた。

第2部は、マリインスキー劇場からユリア・マハリナ、ファルフ・ルジマトフをゲストに迎えた『シェヘラザード』(フォーキン&リムスキー=コルサコフ) である。良く知られているようにこの作品は、1910年にパリ・オペラ座でディアギレフ率いるロシア・バレエ団によって初演された。踊ったのは、イダ・ル ビンシュテインとニジンスキーだった。ここでは、マハリナがゾベイダに、ルジマトフが金の奴隷に扮し、およそ100年前のパリ・オペラ座を震撼させた作品 の最大の見せ場である豪華絢爛のパ・ド・ドゥを踊った。豹のごときしなやかさとあふれるような魅力を発散するダンサー、ニジンスキー亡き後、金の奴隷を踊 るのに最もふさわしいのはやはりルジマトフをおいてはない、そう確信させた舞台だった。(6月26日、オーチャ-ドホール)

ルジマトフ&マハリナ