ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.06.10]

●舞踊公演「ひろば2004」、目白三人の会「舞踊への招待」

踊りとの出会いの「ひろば」、今年の公演はA・Bプロが組まれた。Aプロを観ることができた。「道成寺断章」に続いて、「鳳仙功舞踊…三趣…」が上演さ れた。鳳仙功舞踊は、中国人振付家、大鳳真陽が中国の伝統舞踊に「気」の概念を取り入れて創案したもの。舞踊団は日本人の女性ダンサーが主体である。上演 されたのは、山鳥の長い尾羽を頭に着けて踊る『天与』、孔雀の動きと形態が舞踊となって生命を表す『くじゃくの精』、宇宙の神秘を描く『宇宙の樹』の三演 目だった。『天与』はダンサーの頭につけられた一対の山鳥の長い羽がしなやかに揺れて、フラクタルな生命の輝きを表していて美しかった。

全体に踊りは、あまり激しい動きはなく、静かだがスムーズな動きで、生命や美の象徴としての鳳や仙女、大自然の姿、生命の力などを表現するもの。気の流 れに沿った素直な動きが、人間本来の美しい身体性を創り、無理ない自然な躍動感を生み出す、という考え方に基づいた舞踊である。
続いて、狂言の「釣針」を舞踊化した『戎詣恋釣針…釣女…』が上演された。妻のない大名と召使いが恵比寿様に妻を授かろうと祈願すると、お告げがあって 釣り竿を授かる。その釣り竿で女房釣りをすると、大名には美人が掛かり、召使いには醜女が掛かる、という現代とはまったくの別世界のようなノーンビリとし たファンタジーが観客に大いに受けた。


創作『桜の園』は、日本舞踊家とバレエダンサーが同じ舞台で競演する、という趣向。チェーホフの『桜の園』の筋から離れて、その背景にある美しい世界の 崩壊を、花・月・雪の章として舞踊化している。日本舞踊は西崎峰が踊り、川口ゆり子とバレエ・シャブルウエストがバレエを踊った。着物とチュチュが同じ舞 台でそれぞれの舞踊を見せ、不思議な美しさを放った。(5月21日、アートスフィア)
目白三人の会は、1984年に豊島区に住む舞踊家、小林紀子、芙二三枝子、花柳千代が舞踊をさらに多くの人々に普及するために始められた。主催は豊島区である。

まず、芙二三枝子舞踊団の『心の支え』『緑それは命』が上演され、芙二三枝子が「心とからだをめざめさせるエクササイズ」と題して、ダンサーのデモンス トレーションを交えたトーク。ダンスを創る発想と過程を分かりやすく語った。日本舞踊は、「目・首・肩」「手」の使い方とその意味についての話、さらに小 学生を交えた体験発表「楽しい手の基礎と歩き方」、舞台は大和楽『あやめ』の華麗な踊り、そしてバレエは「バレエ・ダンサーへの道」。ロイヤル・アカデ ミー・オブ・ダンシングの検定試験を受けていくプロセスを具体的に見せた。そして舞台は『白鳥の湖』第2幕、なんとオデットを島添亮子が踊ったのである。 小林紀子バレエ・シアターの『白鳥の湖』は未見だったので、望外の喜びとなった。(5月1日、東京芸術劇場)