ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2011.07.11]
From Osaka -大阪-

竹中優花と武藤天華が踊った、貞松・浜田バレエ団『コッペリア』

原振付:A・サン=レオン、演出・振付:貞松正一郎
貞松・浜田バレエ団

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貞松・浜田バレエ団の『コッペリア』。今回の主役スワニルダ&フランツは竹中優花と武藤天華、実生活のカップルでもある2人だ。竹中は幕開けに登場してコッペリアにお辞儀をして応えてもらえないという場面から、とても性格の良い女の子という感じがにじみ出るように伝わる。一生懸命挨拶するけれど、何度やってもぜんぜん反応がないから最後の最後にとうとう怒り出してしまう、そこまででないとめったに怒らない子のような……。全幕を通して、ところどころにクスッと笑わせるコミカルさが折り込まれた演出で、武藤が、かなりの表情変化をともなった2.3枚目(?)くらいを演じて客席の笑いを誘っていたのも楽しい。
また、つじつまがきちんと合うように物語が細かく整理されていたのも、どんな人が観ても楽しみやすいという意味で良かった。例えば麦の穂の場面、スワニルダとフランツのパ・ド・ドゥで、いくら振ってみても麦の穂はならない、悲しくなって麦の穂を捨てて拗ねるように去るスワニルダ。その麦の穂をフランツが拾って振ってみると鳴っている、フランツの表情がパッと明るくなって、スワニルダを追って袖へ。そして、友人たちの踊りの中へ、スワニルダが戻りニコニコと踊り出す。あの友人たちとの踊りの音楽はとても楽しい音、ここで踊るスワニルダが明るい表情である理由がハッキリと誰にでも分かりやすい演出なのが良い。
 

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2幕では、コッペリア人形になりきったスワニルダを前に、コッペリウスが「美しい!」と感嘆する場面。本当に竹中は美しくて、その感動が素直にこちらに伝わった。また2幕の最後、嘆くコッペリウスをスワニルダとフランツは気にしながら去る。そんな優しさに包まれた演出にほっと心が温まる。 
そして3幕、幕開けは大人数の群舞なのだが、幕が上がる時、既にダンサーたちは踊っていて、足から順に見える。ここで全員の脚裁きがどんな役のダンサーも見事なほど合っていて圧巻。バレエ団の実力がこんなところでも分かる気がする。
そして、それぞれ魅力的なディベルティスマンが繰り広げられるなか、特に、祈りの上村未香のおくゆかしく穏やかな踊り、塚本士朗を中心とした若者の踊りの細かいアントルシャ、若さが弾けるような溌剌とした踊りが印象的だった。
そして、婚礼の踊りとしてのグラン・パ・ド・ドゥ。2人とも美しい上にバレエテクニックも高いものを持っており、さすがに息も合っている。そしてそんな2人の喜びが溢れる踊りだった。その踊りを観ていると客席の私たちも一緒に喜びに包まれるような気がした。
(2011年6月12日 明石市立市民会館 大ホール)

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撮影:yoko
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