岡田純奈バレエ団によるほのぼのとあたたかい舞台──望月則彦版『コッペリア』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

岡田純奈バレエ団

『コッペリア』望月則彦:演出・再振付

2023年が没後10年となる望月則彦が、このバレエ団のために振付けた『コッペリア』。その11年ぶり、3度目の上演だ。
幕が開く前からワクワク感が膨らむ──そんな音楽を聴かせてくれたのは稲垣宏樹指揮、セントラル愛知交響楽団。

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スワニルダ:西川花帆、フランツ:宗近匠
© 杉原一馬(和光写真)

スワニルダを踊ったのは西川花帆。明るく、ちょっと優等生っぽい雰囲気も見せながら、おきゃんで可愛らしい好感が持てる踊り。フランツの宗近匠も爽やかで、優しげでありながら時に悪戯っけを感じさせる表情がこの役によく合う。コッペリウスを踊ったのは大寺資二。舞台経験を重ねたベテランらしく、表情豊かでありながらの自然な演技はさすが。本当は人が良いと思わせる憎めないコッペリウス像を創りあげていた。 

3幕の結婚式の場面。スワニルダ&フランツに加えて、結婚の踊りの2カップル(栗山奈己、伊藤珠里、大西慎哉、水野陽刈)が市長からのお祝いを受けとるところから始まり、コッペリウスとの仲直りを経て、ディヴェルティスマンに入っていく。スラッとしたスタイルの石黒優美と芳賀公美花のしっとりとした祈りの踊り、踊れる男性3人、大岩大起、野黒美拓夢、福島元哉による壮観な戦いの踊りなど適材適所。そしてクライマックス、主役2人の平和の踊りは、2人ともテクニックを美しく見せた上で、若いハツラツ感を持って盛り上げた。
このバレエ団が持つ雰囲気なのだろうか、ほのぼのとした温かさが全体に溢れるようで心地よく観た。
(2023年11月18日 愛知県芸術劇場大ホール)

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市長:松山真宜 © 杉原一馬(和光写真)

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チャルダッシュ:西村美智子、水野陽刈、ほか © 杉原一馬(和光写真)

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コッペリウス:大寺資二、フランツの友人:大岩大起、大西慎哉、野黒美拓夢、福島元哉 © 杉原一馬(和光写真)

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コッペリウス:大寺資二 © 杉原一馬(和光写真)

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曙の踊り:大前胡友、水野里菜、高羽かりん、水野愛子、前田華歩、高羽くらら © 杉原一馬(和光写真)

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祈りの踊り:石黒優美、芳賀公美花 © 杉原一馬(和光写真)

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仕事の踊り:金田真維、高羽きらり、安本名那、渡邉有華 © 杉原一馬(和光写真)

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スワニルダ:西川花帆、フランツ:宗近匠 © 杉原一馬(和光写真)

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