野間景の司会で『ドン・キホーテ』を中心に──「バレエを楽しもうinフェニーチェ堺」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

野間バレエ団プレゼンツ「バレエを楽しもうinフェニーチェ堺2024」

『Sing Sing Sing』野間景:改訂振付、『ドン・キホーテ』ほか 野間景:振付

「バレエが初めてでも楽しめる! バレエが大好きになる2時間!」というサブタイトルが付けられた野間バレエプレゼンツの「バレエを楽しもうinフェニーチェ堺2024」。今回12回目となる企画だ。
野間景の優しげで品を感じる司会で穏やかに進行し、今年もバレエ音楽解説には青島広志。そのおしゃべりは、時に「エッ? それはジョークだよね? 」と思わせるようなオーケストラの裏話などを混じえて笑いを取りながら、早口でテンポ良く進んだ。

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『パキータ』エトワール:中西智美、リュシアン:マイヤー敬洋ハリー
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バレエマイム体験解説・指導:野間景、真銅恵子、平井恵
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『ドン・キホーテ』
キトリ:浅井莉香、バジル:後藤俊星
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幕開けは中西智美とマイヤー敬洋ハリーが主役での『パキータ』。パ・ド・カトルは男女2人ずつの2カップルで実力派のジュニアたち、中井絢加、前田実里、蘇宏基、水沼翔輝が踊り、なかなか良かった。このなかのヴァリーションで女性2人が並び『ドン・キホーテ』のキューピットのヴァリエーションの曲を踊ったが、中井は、今回のメイン演目『ドン・キホーテ』でキューピット役も。一つの公演のなかで、衣装などまったく違って同じ曲を踊って観せるというのも遊び心を感じる楽しい趣向。

この『ドン・キホーテ』、野間の演出で、キトリの父ロレンツォは登場せず、キトリの母(真銅美織)が登場し、達者な演技力で肝っ玉お母さんという感じで場を引っ張った。その前のSBF堺バレエフォーラムの真銅恵子、平井恵子と野間とで行われたパントマイム講座体験も、キトリの母の「あいつは床屋で、お金は持っていない」というマイムで行われて理解を深めた上での上演だった。
『ドン・キホーテ』、第1幕と2幕のキトリは浅井莉香。楽しげで飾らない雰囲気に好感。バジルの後藤俊星は、軽さのある動きで、高度なテクニックもよくこなして観せた。3幕のキトリは宇多田采佳、長い手足を生かしたスケール感のある堂々とした踊りは見ていて気持ちが良かった。

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ガマーシュ:青島広志、キトリの母:真銅美織
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メルセデス:花井美夢、エスパーダ:マイヤー敬洋ハリー
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ドゥルシネア姫:中西智美、キューピット:中井絢加
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キトリ:宇多田采佳、バジル:後藤俊星
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その後、青島のピアノに乗せての『瀕死の白鳥』を仙頭由貴。世界で踊り重ねてきた彼女らしい思慮深さを感じる踊りだった。青島の音楽解説Ⅱを挟み、ラストは恒例の野間景振付の『Sing Sing Sing』。ジャズのリズムに乗り、全員が楽しげに踊り幕を閉じた。
(2024年2月18日 フェンイーチェ堺 大ホール)

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『瀕死の白鳥』仙頭由貴 演奏:青島広志 © OfficeObana

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