ワールドレポート／大阪・名古屋

すずな あつこ　Text by Atsuko Suzuna

主役を担えるダンサーが年々増えているように感じられる法村友井バレエ団。そんな実力派達が様々なソリストを担い、群舞の隅々までがロシア・バレエのメソッドをきちんと身につけたダンサー達、コール・ド・バレエの美しさもさすがと感じるレベルの高い舞台に仕上がっていた。江原功指揮、演奏は関西フィルハーモニー管弦楽団。

幕開け、登場するジークフリート王子は今井大輔。白のタイツが似合う優しげなルックスで一気に舞台に惹きこむ。長身で美しい王妃の堤本麻起子、人が良さそうで軽さを持った動きの大西慎哉がピエロ役というなのも適材適所。1幕のパ・ド・トロワはいずれも他公演で主役を担うダンサーで、今井沙耶の喜びが広がるような踊り、バネのような動きで溌剌感を持った池田健人、慎ましやかな神木遥が楽しませてくれた。

オデットを踊ったのは法村珠里。明るさや激しい感情表現が印象的なダンサー。どちらかというとオディールが得意かというイメージがあったのだが、出産を経てオデットに合う落ち着いた魅力が増したよう。若干、本調子でないかと思える部分もあったが、丁寧な踊りに好感が持てた。特にヴァリエーション、床に甲を着けた状態から起こして、床を滑らせてのアラセゴン・ディベロッペを見せてくれたのが嬉しい。一番美しい足の使い方だと思うが、最近、ザハロワなど限られたプリマしか観せてくれない。
一方、オディールは春木友里沙。今、本当に伸び盛りなのだろう、華やかで登場しただけで観客を惹きつけ、活き活きと伸びやかに歌うように王子を誘惑。今井とのグラン・パ・ド・ドゥは、共に高テクニックで盛り上げた。

そして4幕、存在感あるベテラン今村泰典のロットバルトと戦う王子。ラスト、ロットバルトの羽をもぎ取り勝利、ハッピーエンドだ。このバレエ団の『白鳥の湖』、近年は悲劇で終わっていたが、今、この時代には、やはりこちらを、ということだろう。
（2023年10月28日　フェスティバルホール）

オデット：法村珠里、ジークフリート王子：今井大輔、ロットバルト：今村泰典
©尾鼻文雄（OfficeObana)

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