金沢景子の新作『一本の樹の物語』をメインに、恩師・藤田佳代の作品『ささやく』も上演──藤田佳代舞踊研究所モダンダンス公演

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

金沢景子モダンダンスステージⅥ

『一本の樹の物語』金沢景子:作舞、『ささやく』藤田佳代:作舞

金沢景子の6回目のリサイタル。第1回は1995年、阪神淡路大震災が起こった年の8月だったという。「明日何が起きるか分からないから今できることをはじめよう」と、初めてのリサイタルに挑戦した。やはり芸術というのは、アーティストにとって、生きる力であり、生きる目的なのだとつくづく思う。それから回を重ね、今回6回目。これで、藤田佳代舞踊研究所主催としての金沢のリサイタルは最後と区切りを付ける舞台だった。

image0-1.jpeg

『ささやく』中央:金沢景子 撮影:中野良彦

image1-1.jpeg

『ささやく』前:金沢景子 撮影:中野良彦

幕開け、まず上演されたのは、恩師・藤田佳代作舞の『ささやく』。人類より永く存在しているのは"石ころ"ではないかと、石ころのささやきを聞く──その群舞の中心を金沢が踊った。

休憩を挟んで、金沢自身が作舞し、群舞とともに、自ら中心を踊った『一本の樹の物語』。ピアノの小場真由美、尺八の稲澤笑亀、フルートの市瀬由紀、チェロの本倉信平、フレームドラムの長谷川耕司が、それぞれパートごとに作曲した曲を演奏する中で踊られた。雪や光、風などに晒され、そのなかで自ら在り方を探そうとする"一本の樹"は、金沢自身だろうか? 最後は「胎動の 見えず聞こえず 産土神」と題した群舞。金沢を中心に踊られる20人の群舞は、どこか宗教儀式のようにも見え、人が"生きる"上での根本的なことに向き合っていることが感じられた。
(2023年11月25日 神戸ファッション美術館オルビスホール)

image5.jpeg

『一本の樹の物語』撮影:中野良彦

image15.jpeg

『一本の樹の物語』撮影:中野良彦

image13.jpeg

『一本の樹の物語』前中央:金沢景子
撮影:中野良彦

image12.jpeg

『一本の樹の物語』中央:金沢景子
撮影:中野良彦

image4.jpeg

『一本の樹の物語』金沢景子
撮影:中野良彦

image14.jpeg

『一本の樹の物語』前中央:金沢景子
撮影:中野良彦

記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。

ページの先頭へ戻る