「シンフォニックバレエ Double Bill」と題して、遠藤康行振付で柴山紗帆と奥村康祐中心に踊った『レ・シルフィード』と深川秀夫振付『ソワレ・ド・バレエ』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

テアトル・ド・バレエカンパニー「シンフォニックバレエ Double Bill」

『レ・シルフィード』遠藤康行:振付、『ソワレ・ド・バレエ』深川秀夫:振付

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『レ・シルフィード』柴山紗帆、奥村康祐
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

「シンフォニックバレエ Double Bill」と題して2演目が上演された公演。まずはじめに上演された遠藤康行振付の『レ・シルフィード』がとても興味深かった。音楽は、お馴染みのあのフレデリック・ショパンの曲を組み合わせた『レ・シルフィード』。ロマンティック・チュチュではないけれど白い衣装のダンサー達。だが、振付は新しい。新国立劇場バレエ団からのゲストである柴山紗帆と奥村康祐を中心に、プラス、男女5人ずつ、6カップルが踊った。
全体に動きにスピード感やアクロバティックな魅力があり、ゆったりとした"空気の精"というよりは、目の前をあっという間に通り過ぎる"風の精"のような。床を滑る、重さなんてないかのように走り去る。そのなかに、あのフォーキンの振付をフラッシュバックさせるような部分も少しあるのだが、それもまた効果的で面白く感じた。もとの作品をよく知るからこそ創り出せる振付のように思えた。そして、やはり、柴山と奥村は良い。この作品のキーと言えそうな白の似合う清潔感を感じさせながら、いつまでも見ていたくなるしなりや余韻を感じさせる2人の踊り。また、上部に大きくゆったりと配された布に空が映る──シンプルで爽やかな長谷川匠の美術も良かった。

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『レ・シルフィード』柴山紗帆、奥村康祐、ほか
撮影:文元克香(テス大阪)

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『レ・シルフィード』柴山紗帆、奥村康祐、ほか
撮影:文元克香(テス大阪)

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『レ・シルフィード』柴山紗帆、奥村康祐
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『レ・シルフィード』
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『ソワレ・ド・バレエ』永田瑞穂、梶田眞嗣
撮影:文元克香(テス大阪)

後半は深川秀夫振付、グラズノフの曲での『ソワレ・ド・バレエ』。深川作品を繰り返し上演しているこのバレエ団。今回もゴージャスな空気をたたえて上演した。実力派が揃う主の5カップルのうち、メインとなる赤いチュチュのカップルは永田瑞穂と梶田眞嗣。華と存在感たっぷりに楽しませてくれた。
(2023年11月16日 愛知県芸術劇場大ホール)

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『ソワレ・ド・バレエ』
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『ソワレ・ド・バレエ』
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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